注目ポイント
台湾の航空業界は、今年に入ってロックダウンが解除されたこともあり、旅客需要が予想以上に伸びている。航空券の価格は3割上昇したが、原油価格は下落傾向にある。そのためスターラックス航空、中華航空、エバー航空、台湾タイガー航空の大手各社は、今年下半期の業績も好調に推移すると予想される。
コロナ禍が徐々に落ち着き、航空業界は以前の水準に戻りつつある。旅客需要の急増に加え、原油価格が下落しており、大手航空会社各社の収益は大幅増となった。また、CO2ゼロ・エミッションが進む中、国内航空業界の「グリーンビジネス」の商機を巡る戦いの火蓋が切られ、グリーン金融、グリーン航空券やグリーン投資など新たな領域に挑んでいる。
航空業界、コロナから回復傾向へ 収益は大幅に増加
コロナ禍の終息とともに、航空需要も回復している。英フィナンシャル・タイムズは、英航空コンサルタント会社IBAによる情報として、エア・インディアが今年(2023年)2月、エアバスとボーイング社にシングルアイル(単通路)旅客機と長距離用ワイドボディ旅客機470機を発注したと伝えた。5月末までに受注総数は1198機に達し、需要がコロナ禍以前の水準まで急速に回復していることが浮き彫りになったという。国際航空運送協会(IATA)は、今年4月の総旅客数が前年比46%増となったと発表し、加盟国の国内線はコロナ前の水準に回復し、国際線については、アジア・太平洋地区が回復を牽引していると述べた。
しかし、旅客機メーカー側の生産能力に限りがあり、航空業界の回復傾向に追いつかないため、人気機種の納期は2030年になるという。IBAのマイク・リンタック市場アナリストは「航空会社は積極的に輸送力を回復させている。今は在庫の旅客機を活用しながら、新機種の発注も加速させている」と指摘する。
航空業界の回復傾向は、台湾でも同様である。例えば、タイガー航空は今年第1四半期の1株当たり純利益(EPS)が1.07元に達し、国内首位となった。一方、エバー航空とその連結子会社の税引き後純利益は449億8千万台湾ドル、EPSは0.84台湾ドルで、年間成長率31%に達し、同期間として過去最高を記録した。
ロックダウンが解除されたことで、今年の航空業界の旅客需要は予想以上に増加した。航空券価格は30%上昇したが、原油価格は下降している。故にスターラックス航空、中華航空、エバー航空、台湾タイガー航空等大手各社は、今年後半も好調を維持すると予想される。
持続可能な航空燃料SAFが次のビジネスチャンスに
一方、中華航空とエバー航空は、貨物輸送の減少を補うために増便と新規就航を続けている。旅客輸送需要については楽観的に見ており、この傾向は年末まで続くと予想されている。