注目ポイント
台湾では夏に廃業する花屋が多い。夏には花を扱うような年中行事やイベントが少なく、「暑さで切花が長持ちしない」と思われていることも売上の低迷につながっているが、年間を通した売上の偏りが経営状況の悪化の大きな要因になっている。
台湾は連日35度近い気温が続き、本格的な夏を感じられるようになってきた。花屋にとっては、1年で最も花が売れない厳しい季節の始まりでもある。これは台湾だけでなく日本の花屋も同様で、売上低迷の最大の要因は花を扱う大きなイベントが少なくなるためだが、台湾では「灼熱の暑さでは切花が保たない」と多くの人に思われてもいるようだ。
たしかに切花にとって暑さは大敵だ。しかし、室内でしっかりと管理すればそれなりに長く楽しめる。また、夏は全体的に花が安価になり、普段は高価な花材でも手頃な値段で購入できるため、自宅用に購入したり自身でアレンジメントを楽しんだりするにはおすすめな時期でもある。
そもそも素人レベル、売上の圧倒的な偏りも要因に
夏の台湾では、花屋の倒産も増える。個人で花屋を起業しやすい台湾では、毎年多くの新しいお店が開店しているが、内装にこだわるあまり初期投資額が多過ぎた、運転資金の資金繰りに失敗した、花に対する知識や技術がそもそも素人レベル、何も考えずに起業してしまったなどの理由から、数ヶ月で閉店することが珍しくない。手軽に起業できる分、倒産も早いというわけだ。これは花業界に限ったことではなく、飲食店や美容院なども日々出店と撤退を繰り返している。

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要因の一つには、台湾の花屋の売上が圧倒的に上半期に偏っていることも挙げられるだろう。1年のうち上半期は、1月は新年と旧正月、2月はバレンタインデー、3月はホワイトデー、4月から5月は母の日、6月は卒業式といった具合に毎月何かしらのイベントがあり、売上は右肩上りで伸びるのが普通だ。
しかし、6月の卒業式以降は注文が一気に減る。もちろん、突発的に大きな仕事が入ることもあるが、開店したばかりの花屋では頻繁にはないだろう。それにもかかわらず、「うちの店は儲かっているから新しく人を雇おう」「売上が順調に伸びているから、新規店舗を出そう」と強気なテコ入れを行ってしまい、結果、資金繰りに窮した倒産が少なくないのだ。
忙しくてなんぼだからこそ大切な中長期視点
花屋は“忙しくてなんぼ”だ。朝の仕入れ、店に戻って花材整理や注文伝票の処理、問い合わせの返信、注文品の制作、来店客の対応、SNSの更新などをしていれば、あっという間に1日が終わってしまう。初めて花屋で働くアルバイトたちは皆、口を揃えて「花屋の1日ってめちゃくちゃ早い!」と驚く。だが、毎日の仕事に追われているだけでは、今後の目標や経営計画を立てることは難しい。やはりどこかでまとまった時間を取り、中長期の視点で経営を考えることが必要である。