注目ポイント
スイス証券取引所には中国企業が13社上場する。運営するSIXグループのヨス・デェセルホフ最高経営責任者(CEO)は、中国企業の新規上場は今後も続くと予想する。

SIXグループはスイスとスペインで証券取引所を運営。清算・決済など「ポストトレード」業務や銀行サービス、金融情報サービスも手掛ける。SIXの株主である金融機関120行は、SIXの提供するサービスの利用者でもある。
拠点は20カ国に広がり、4044人の従業員を抱える。2022年の営業利益は15億フラン(約2100億円)、純利益は1億8500万フランだった。チューリヒの本社で、2017年12月からCEOを務めるヨス・デェセルホフ氏に話を聞いた。
swissinfo.ch:あなたはオランダ出身ですが、スイスの住み心地はどうですか。スイス国籍の取得を考えていますか。
ヨス・デェセルホフ:スイスがとても気に入っています。チューリヒは間違いなく最も住みやすい街の1つです。私はすっかりスイスに根を下ろしていますし、私の「標準ドイツ語」も上達しています。前評判とは異なり、スイスで友達を作るのは簡単です。国籍については、取得条件を満たした時に考えます。
swissinfo.ch:SIXが競合他社よりも幅広いサービスを提供する理由は何ですか。競合他社はなぜ追随しないのでしょうか。
デェセルホフ:SIXの多様なサービスの間には相乗効果があります。徐々に追随する企業は増えていますが、証券取引業務という稼ぎ頭の存在が足かせとなっています。SIXと異なり競合他社は自らも上場企業ですから、収益性の低い業務にそこまで乗り気ではないのです。
swissinfo.ch:あなたは以前、真の競合相手は他の証取ではなく、規制下に置かれていないサービスを提供する企業だと話していました。
デェセルホフ:そのとおりです。プライベートエクイティ(未公開株)に特化した企業こそ真の競合相手です。
swissinfo.ch:SIXは20カ国に拠点を置いています。海外拠点の主要業務は何ですか。
デェセルホフ:SIXの従業員はざっとスイス国内に2千人、スペインに1千人、その他は海外拠点にいます。スイスとスペインの拠点は、事業開発や情報システム開発など典型的な本社機能を備えています。海外拠点の主要業務は金融情報サービスと証券サービスで利益を出すことです。
swissinfo.ch:2022年のスイス証取への新規上場社数は14社でした。そのうち9社は中国企業です。これは米中対立とは距離を置いた、スイス・中国間の良好な関係の成果でしょうか。
デェセルホフ:これら9社は中国ですでに上場していたため、SIXと上海および深圳の証取が新たに合意した相互上場の仕組み「中国・スイス間ストックコネクト他のサイトへ」を利用し、スイス証取に上場しました。これは(株式の代わりに外国の証券取引所で売買させる)グローバル預託証券(GDR)を発行する形です。