注目ポイント
メディアテック(聯發科技)とリアルテック(瑞昱半導體)は、それぞれ台湾で1位と3位のIC設計メーカーであり、台湾の半導体産業において重要な役割を果たしている。リアルテックは、このほど米国でメディアテックが「訴訟を利用した妨害行為」を行い、スマートテレビやセットトップボックスのICチップ市場を独占しようとしていると非難した。
IC設計大手のリアルテックがライバルのメディアテックを相手取り、訴訟を起こした。リアルテックが米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提出した訴状によると、メディアテックは米IPValue社との間で、リアルテックに対し不当な訴訟を行うと「報奨金」を支払うという内容の契約を結び、リアルテックを妨害してスマートテレビやセットトップボックスに使われるICチップ市場を独占しようとしたと訴えている。
リアルテックが特許侵害でメディアテックを提訴
メディアテックとリアルテックは、それぞれ台湾IC設計の1位と3位の大手企業であり、多くの分野で競争関係にある。
今回、リアルテック側が米国連邦地方裁判所に提出した訴状によると、メディアテックは2019年にIPValue社の子会社であるフューチャー・リンク・システムズとの間で、フューチャー社がリアルテックに不当な訴訟を行う毎に報奨金を支払うという契約を結び、リアルテック側に妨害行為を行った。
IPValue社は、自ら製品を製造や販売を行うことはなく、特許の購入、ライセンス付与など特許権の行使に特化した企業である。同社は特許権侵害の訴訟や和解協議を行うことで、ライセンス料を得ており、同様の企業は法律上、特許主張主体(PAE:Patent Assertion Entity)とも称される。
PAEはまた、いくつかの論争をも引き起こしている。特許権の保護と擁護に役立ち、イノベーションや技術の進歩を促すという一面もあるが、他方では、非生産的な方法で他社から経済的利益を得るいわゆる「パテント・トロール」だとの批判もある。
リアルテック側の訴えに対し、メディアテックは6月8日、重大なメッセージを発表して反論した。メディアテック側は、同社が「特許主張主体(PAE)と手を組み、リアルテックに対し瑣末なことで高いコストをかけて訴訟を起こし、同社に嫌がらせをした」というのは事実と異なると主張している。
メディアテック「訴訟を利用した嫌がらせなどは全くの誤解」
メディアテックは「いわゆるパテント・トロールと契約し、訴訟を利用して嫌がらせを行った」という指摘は全て誤解であると主張し、事実と異なる指摘や報道によって会社に損害が生じた場合は、法に則り会社の権利を守ると述べ、寛大な態度を取ることはないと強調した。
メディアテックは、すでに米国の司法手続きを進めており、法律に従って証拠と答弁書を提出すると述べ、本件が会社に及ぼす影響はほとんど無いとした。