2023-06-23 政治・国際

キューバに設置された中国のスパイ基地 ファーウェイ社員らの出入り確認=米紙

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米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は21日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の社員が、中国がキューバに設置した情報収集のためのスパイ施設に出入りしていると報じた。米政府関係者が社員の動きを追跡したところ、中国政府が通信会社をスパイ活動に利用している可能性があることが分かったとしている。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は21日、米政府関係者が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の社員らを追跡調査したところ、キューバに設置した中国のスパイ施設に出入りしていることを突き止めたと伝えた。同紙によると、米当局は中国政府がこれらの社員を諜報活動に利用している可能性があるとみている。

そのため、バイデン政権は中国がキューバで情報収集を拡大する取り組みを続けていると警戒。両社を巡っては、米国などが安全保障上の脅威があるとして排除を進めている。これに対し、ファーウェイとZTEは、それぞれ声明で「根拠がない」として、スパイ施設との関与を否定。中国外務省もキューバでのスパイ活動を否定している。

WSJ紙によると、両社は中国へのデータ送信に使用できるネットワーク機器などを専門に扱っているが、傍受に使う高度な機器は製造していないとみられる。

米政府当局は今月10日、同紙が8日に中国がキューバで諜報活動を展開するための基地を置く計画があると報道したことを受け、記事は正確ではないと指摘し、異例の反応を示した。その上で米政府当局は、中国が以前から世界各地で情報収集施設を拡充し、少なくとも19年にはキューバで情報活動をする4つの施設を置き、両国で共同運営しているとの見方を明らかにした。

さらにWSJ紙は20日、中国とキューバがスパイ施設のほかに、共同でキューバに新たな軍事訓練施設を設置する交渉を進めていると、現職と元職の米当局者の情報として報道。中国軍を常駐させ、スパイ活動強化に道を開く可能性があると伝えた。

カリブ海に浮かぶ社会主義国であるキューバと米国・フロリダ州最南端キー・ウェストとの距離はわずか160キロ足らず。目と鼻の先に中国軍が駐留する可能性があるため、米政府は強い懸念を抱いているという。

複数の関係者の話としてWSJ紙が伝えたところによると、中国側はキューバ政府と共同で、米国に近い北岸に軍事訓練施設を設置する計画について協議し、まだ結論は出ていないものの、同紙は「かなり進んだ段階」まで進んでいるようだとした。

同紙はまた、訓練施設は兵士が常駐するだけでなく、米国を監視・盗聴する拠点となりかねないため、計画を察知したバイデン政権はキューバ側に接触し、思いとどまるよう働きかけているとの関係者の情報を伝えた。

米国防総省のシン副報道官は20日の記者会見で、訓練施設の報道について直接言及することは避け、「中国が西半球に関心を持ち、軍事的な拠点を拡大しようとしていることは承知しており、われわれは監視し続ける」と述べるに留まった。

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