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米沿岸警備隊は22日(日本時間23日)、英豪華客船タイタニック号の探索ツアー中に消息を絶った潜水艇「タイタン」の破片を海底で発見し、乗っていた5人は全員が死亡したとの見解を示した。大規模な捜索活動は最悪の結果で幕引きとなった。一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、出航から数時間後に米海軍の極秘音響探知システムが、潜水艇の爆発音を確認していたと特報した。
一方、AFP通信は21日、オーシャンゲート社の海洋事業の元責任者が、タイタンの安全性に重大な懸念を表明していたことが、2018年の訴訟記録で明らかになったと伝えた。
潜水艇の操縦士兼ダイバーのデービッド・ロックリッジ氏は、15年5月からオーシャンゲート社で業務委託として勤務し、その後、海洋事業の責任者に就任した。だが、18年に機密情報などを漏えいし秘密保持契約に違反したとして同社に米ワシントン州で提訴された。
裁判でロックリッジ氏は反訴し、同社で当時開発中だったタイタンの設計に重大な安全上の懸念を指摘したところ、18年1月に解雇されたと主張。「タイタンの品質管理や安全性、特に船体の試作品についての重要な非破壊検査をオーシャンゲートが拒否したこと」に関する懸念を口頭で経営陣に伝えたが、無視されたとしている。
さらに、タイタンの前端部にある展望窓は、水深1300メートルまでの耐圧性能基準しか満たしていないとも指摘。「オーシャンゲートは、水深4000メートルまでの潜行に要求される性能基準を満たす展望窓を製作する費用をメーカーに支払わなかった」と主張した。AFP通信によると、訴訟は18年11月に和解している。
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