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米沿岸警備隊は22日(日本時間23日)、英豪華客船タイタニック号の探索ツアー中に消息を絶った潜水艇「タイタン」の破片を海底で発見し、乗っていた5人は全員が死亡したとの見解を示した。大規模な捜索活動は最悪の結果で幕引きとなった。一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、出航から数時間後に米海軍の極秘音響探知システムが、潜水艇の爆発音を確認していたと特報した。
米沿岸警備隊は22日(日本時間23日)、1912年に沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見る観光ツアー中に行方不明になった潜水艇「タイタン」の破片を海底で発見したと発表した。水圧でつぶれたとみられ、乗っていた5人の生存は「絶望的」として弔意を表明した。米メディアによると、ツアー運営会社も全員が死亡したとの見方を明らかにした。
そんな中、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は23日、「タイタン」について、「出航から数時間後に米海軍の極秘音響探知システムが、潜水艇の爆発音を確認していたことが分かった」と伝えた。
同紙は米国防当局者の話として、海軍は潜水艇からの通信が途絶えたすぐ後に音響探知を開始。行方が分からなくなった直後には、今回潜水艇の破片が発見された場所の近くで爆発音と思われる音を検知したと報じた。これらの情報は現地の指揮官に伝えられたとしている。同探知システムは敵国の潜水艦を探知するためのものだという。
また、米海軍の高官が明かした情報としてWSJ紙は、海軍が音響データの解析を行い、通信が途絶えた際に潜水艇が活動していた場所の近辺で爆縮(周囲からの圧力で押しつぶされる破壊現象)、あるいは爆発と一致する異常を検知したとしている。これらの情報は確定的ではないものの直ちに指揮官と共有され、進行中だった捜索救助活動に役立てられたとしている。
会見した米沿岸警備隊のジョン・モーガー少将によると、カナダが提供した無人探査機が22日午前、水深3800メートル付近に沈んだタイタニック号の船首から約488メートル離れた地点で破片を見つけた。目立つ破片は5つあり、居室部分を水圧から守る設備が含まれていた。
同探査機は22日に今回の捜索で初めて海底にたどり着いた。フランスから最新鋭の探査機も加わり、行方の手がかりを探っていた。
ロイター通信によると、水中音波探知機(ソナー)は20日と21日に海中でたたくような音を感知し、乗員生存への期待が高まったが、音の分析結論は出なかった。モーガー氏は、「その音と潜水艇の破片の集積が発見された場所は無関係のようだ」と述べた。
タイタンに搭乗していたのは、英富豪ハミッシュ・ハーディング氏(58)、パキスタン出身の実業家シャーザダ・ダウード氏(48)とその息子(19)、タイタニック号の探査専門家で「ミスター・タイタニック」として知られるフランス人探検家ポールアンリ・ナルジョレ氏(77)のほか、操縦士として米企業オーシャンゲート・エクスペディションズの創業者で最高経営責任者(CEO)のストックトン・ラッシュ氏。