注目ポイント
6月1日、台湾と米国の間で「21世紀の貿易に関する米国・台湾イニシアチブ」第1段階の協定に署名が行われた。台湾行政院によれば、過去数十年来もっとも包括的な貿易協定であり、その対象は広範渡るが、特に貨物輸送、郵便急送業、航空輸送、海上輸送等、輸出産業に大きな利益をもたらすという。
米台相互貿易協定(BTA)を目標とした協定
6月1日の夜、米国ワシントンD.C.において米台双方の代表が「21世紀の貿易に関する米国・台湾イニシアチブ」(以下、米台貿易イニシアチブ)第1段階の協定に署名を行った。台湾行政院経済部経済貿易交渉オフィス(以下、経済貿易交渉オフィス)は、この協定は大きな歴史的意味を持つと評価している。
2022年6月の米台貿易イニシアチブの立ち上げ発表以来、双方は2回の対面会議に加え数十回のオンライン会議を開催し、貿易の12分野について交渉を重ねてきた。そして今回税関手続きおよび貿易円滑化、良き規制慣行、サービスの国内規制、反腐敗、中小企業の5分野について合意に達した。経済貿易交渉オフィスは、米国側も台湾との経済・貿易関係の歴史的意義を認めたと述べている。
注目すべき点は、まず台湾と米国がそれぞれ「経済貿易交渉オフィス」と「米国通商代表部」を「台北駐米経済文化代表処(TECRO)」と「米国在台湾協会(AIT)」の署名責任者として指定し、指定された代表とその他の管轄当局を通じて協定の義務を履行するようにしたことである。
内容を見ると「貿易の円滑化」については、税関手続きの効率化と透明化を目指し、通関と国境の検査を簡略化、手続きのデジタル化を進め通関スピードを加速する。企業にとっては時間と費用の節約になる。「良き規制慣行」については、中央方法制機関が法規を制定する際、合理化と透明化の原則を守り、中小企業への影響を考慮する。「中小企業」については、中小企業のビジネスチャンスを増やし米台双方の雇用と成長を促進する。これには情報の共有と定期的な対話システム構築による協力が含まれている。
貨物輸送、国際輸送、海上輸送事業に大きな恩恵
経済貿易交渉オフィスは、本協定は米台間で1979年以降に締結された中で最も包括的な貿易協定であり、台湾の貿易制度が国際的に見て高水準に達していることを示すメルクマールである。また、ビルディングブロック方式により米台FTA(自由貿易協定)を締結するための重要な一歩であると評価している。
経済貿易交渉オフィスが発表した資料によると、本協定が発効した後に恩恵を受ける産業は広範に渡るが、貨物輸送、郵便急送、航空輸送、海上輸送、通関業、荷主、輸出産業、特に農産物の通関に大きな利益をもたらすとみられている。
経済貿易交渉オフィスは、台湾企業の98%以上を占める中小企業こそ、経済成長の骨幹であり、台湾と米国は双方の中小企業支援、輸出支援等の機関と連携し、中小企業への融資、研修、貿易円滑化に向けた情報共有等を促進していくと強調している。
協定には米台双方が定期的に中小企業と対話の機会を設け、政府、民間、産学、中小企業等、各界の代表を招き、双方の中小企業のビジネスチャンスとチャレンジの場となるプラットフォームを構築するとともに、中小企業と関連各界の意見交換の場を確保すると明示された。