注目ポイント
台北在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、台湾各地の歴史ある市場の楽しみ方を紹介する月イチ連載。今回取り上げるのは、台北観光の定番・行天宮のほど近くにある「松江市場」です。日本の商店街をぎゅっとコンパクトにしたような地域密着型の伝統市場は、おおらかかつエネルギッシュな雰囲気に満ち、市場周辺にもお店がたくさん。夜には屋台が立ち並び、朝から晩まで散策を楽しめます。
地元民に愛される地域密着型の市場
商売の神さまが祀られている有名な寺廟「行天宮」から歩いて5分の場所にある松江市場。周囲では観光客の姿を見かけることも多いのですが、伝統市場らしいローカル感たっぷりの雰囲気が今なお残っています。

1Fは野菜と果物を中心に、台湾の伝統食材、いろいろな地方の中華惣菜、豆花などのスイーツ、さらには服、靴、キッチン雑貨までなんでもそろいます。地下には生鮮食品エリアが広がっており、フロアの一部ではいくつかの飲食店も営業。日本でいう商店街がぎゅっとコンパクトになったようなイメージで、おおらかかつエネルギッシュな台湾の魅力を感じられる素敵な場所です。
三大節句のひとつ、端午節にいただく台湾式ちまき
私が夫とともに松江市場を訪れたのは、春節、中秋節とならび三大節句のひとつとされる「端午節」の祝日を間近にひかえた週末でした。台湾では、旧暦の端午節(例年6月)には「粽子(ゾンズ)」と呼ばれる台湾式ちまきを食べる習慣があるのだそう。

台湾のちまきは地域によって作り方や具材が異なり、味わいも多種多様。北部では先にお米を調理してから具材ごと包んで蒸すのが主流です。私たちが立ち寄ったちまき専門店では、中身の見えるサンプルが置かれていて、好きな種類を選んで買うことができました。

雨が降り、気温も高くなって、じめじめと蒸し暑い日が続くこの季節。場内には、ゴーヤ、ヘチマ、とうもろこし、ひょうたんなど台湾の夏を代表する野菜がずらり。フルーツでは、桃やスイカ、メロン、ドラゴンフルーツに加えて、フレッシュなライチも発見! 甘くてジューシーなライチは台湾に来て大好きになったもののひとつ。期間限定で流通することもあり、見かけるとつい手にとってしまいます。
青空市場や台湾らしい屋台フードも楽しんで
市場のまわりにも青果店や精肉店、さまざまなジャンルの飲食店などが並んでいます。市場としての営業時間は朝からお昼すぎまでですが、夜になると通り沿いにたくさんの屋台が軒を連ね、小さなナイトマーケットのようになります。

平日の午前中は比較的ゆったりとお買い物を楽しめるのですが、週末ともなると市場の中も外も大にぎわい。店員さんたちのかけ声やおいしそうな香りにつられて、ついつい食材やお惣菜を買い込んでしまいます…! テイクアウトできる軽食やおやつも充実しているので、観光の合間に訪れてみてはいかがでしょうか?
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