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2021年1月のバイデン政権発足後、国務長官を含めた米閣僚で初めて訪中したブリンケン米国務長官は18日、北京で中国の秦剛国務委員兼外相と会談。19日には中国外交担当トップの王毅・共産党政治局員と会談する。米中関係の悪化に歯止めをかけ、台湾問題や偶発的衝突の回避に向けた対話を確保する狙いだが、米国の保守系メディアからは、「外交政策の観点からは無意味」という声も上がっている。
FOXニュースは中国が、ロシアによるウクライナ侵攻の準備段階から侵攻後にかけて同国との緊密な関係を発展させてきたとした上で、米国や西側諸国との競争において自国の支配力と影響力を強化するため、上海協力機構(SCO)、そして最近ではBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)経済圏に、より多くの時間と労力を投資してきたと分析。
こうした動きの中での今回の訪中だけに、多くの専門家は成果についてはかなり悲観的だとみているとFOXニュースは報じた。その一人、コフラー氏は、中国政府が台湾侵攻を含む目標達成のため、「数十年にわたって」取り組んできたことを踏まえると、習氏を現在の路線から脱却させようとするいかなる試みも「無意味」だと断言した。
コフラー氏は、「家の目の前にスパイ基地の設置をすでに許してしまい、何十億ドル分ものハイテク軍事機器を他国に供与して戦闘兵器を枯渇させてしまい、ネットワークの安全性も確保できず、軍事アナリストなら誰でも理解できる中国による台湾侵攻への備えもできていないのなら、外交は機能しない」と辛らつにバイデン政権を批判した。
さらに、「中国は米国のぜい弱性と、外交と国家安全保障が希望的観測のもとに遂行されているという事実を分かっている」と付け加えた。
一方、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、たとえブリンケン氏が画期的な合意に至らなかったとしても、「ある程度、関係改善への兆しを残すことができれば、今回の訪中は成功と言える」とした。
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