2023-06-19 政治・国際

史上最高齢現職VS訴追された前大統領、前回同様の顔ぶれに有権者うんざり

© 2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を調査する特別委員会の公聴会で流されたドナルド・トランプ元大統領とジョー・バイデン大統領のビデオ=2022年6月13日、ワシントンD.C

注目ポイント

来年の米大統領選は、前回2020年同様、バイデンVSトランプの構図になる可能性が大きい。相次ぐ疑惑での起訴などどこ吹く風、共和党支持者らの間でトランプ前大統領の人気は衰えを見せず、現職バイデン大統領との選挙戦は激戦が予想される。高齢、不人気の現職と疑惑まみれの前大統領との戦いに、米国の大多数の有権者はいささかしらけ気味だ。

【樫山幸夫の一刀両断】

二度の訴追でも根強いトランプ氏の“岩盤支持”

トランプ人気の根強さにはいまさらながら驚く。

1年半足らずに迫ったアメリカ大統領選でカムバックをめざすトランプ前大統領が、不倫相手への口止め料不正支払い問題に続いて、在任中の機密文書持ち出しの罪で起訴された。裁判所に出廷した大統領は無実を主張して気炎を上げた。

© AFP via Getty Images

トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ・ベッドミンスターで演説した際のドナルド・トランプ前米大統領 = 2023年6月13日、ニュージャージー州

国の安全保障を脅かしかねない重大事件にもかかわらず、トランプ氏への〝岩盤支持〟にはほとんど揺るぎがみられない。

 

トランプ氏、強敵デサンティス氏を大きくリード

 

トランプ起訴が発表された6月9日前後に米CBSテレビが行った共和党候補者選びの人気調査によると、トランプが61%、2位のデサンティス・フロリダ州知事の23%を大きく引き離している。

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ノースカロライナ州グリーンズボロで演説する共和党大統領候補フロリダ州知事ロン・デサンティス氏= 2023年6月9日

トランプ氏を副大統領として支え、後に袂を分かち6月に出馬表明したマイク・ペンス氏は4%にとどまり、ティム・スコット上院議員も4%、トランプ政権で国連大使を務めたニッキ―・ヘイリー氏も3%の低迷ぶりだ。

同じ調査では、共和党支持者のうち、8割近くの人が、「起訴は(トランプ氏を不利にするための)政治的動機から」とみており、6割の人が、トランプ氏への評価に変化はないと答えた。有権者のこうした見方がトランプ氏への揺るがぬ支持につながっているようだ。

 

バイデン氏も楽観できず、リード許す調査結果も

 

一方の民主党では、バイデン大統領が、有力な対抗馬がいないこともあってほぼ独走状態。再選を目指す現職への挑戦者は通常ほとんどみられないから、順当なところだろう。

来年2月から始まる候補者選びの予備選では民主党ではバイデン、共和党からはトランプの両氏が指名され、11月5日の本選挙では前回と同じ顔ぶれの戦いになる可能性が現時点では強いとみるべきだろう。

本選の結果を予測することは禁物だが、異常なまでのトランプ人気を考えれば現職バイデン氏も再選を楽観視することは到底できまい。

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ペンシルベニア州フィラデルフィアで労働組合員らに演説するバイデン大統領=2023年6発17日

 

政治専門紙「THE HILL」が6月14日に発表した調査では現職バイデン氏対トランプ氏で比較すると、それぞれ48%、44%で拮抗。 前回5月の調査と比べると、トランプ支持の下落はわずか2ポイントにとどまった。バイデン氏は変化なし、〝敵失〟に伴う支持率アップの期待は裏切られた。

一方、ハーバード大アメリカ政治研究所などの調査ではトランプ44%、バイデン41%で、わずかながら前大統領が現職をリードしている。トランプ氏がバイデン氏をリードする調査結果はほかでも少なからずみられる。

ABCテレビ・ワシントンポスト紙の5月初めの調査では、人気低迷をかこってきたバイデン氏の政権運営に対する支持率は36%と就任以来最低を記録した。

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