2023-06-18 観光

一杯に込められた思い―― 世界で愛される 台湾のドリンク 

注目ポイント

先頃、Googleは、タピオカティーを作るゲームを打ち出した。台湾生まれのこのドリンクは今では世界中で注目され、認知されている。台湾の街を歩けばいたるところにドリンクスタンドがあるが、どの店もそれぞれの特徴があり、一杯のドリンクに創意が結集している。台湾のハンドシェイクドリンクは、どのようにして生まれ、また世界へと進出したのだろう。

黄士瑋が出した答えは、品質にこだわりつつ、店舗の質感を高めることだった。多くのドリンクスタンドがステンレスのカウンターなのに対し、迷客夏では木の質感とグリーンとグレーを基調に店舗をデザインした。

天然の素材にこだわった迷客夏は、当初から色素や防腐剤の入っていない白いタピオカを開発した。世界では「産地から食卓まで」と言われているが、彼らが主張するのは「産地からカップまで」で、本来の形のままの素材を用いる。例えば、看板商品の「タロイモミルク」の場合、新鮮なタロイモを各店舗に配送し、店舗でタロイモを蒸してマッシュし、牛乳と合わせる。黒糖も出来合いのシロップではなく、各店舗で二号砂糖(ざらめ)と黒砂糖を炒めてシロップにする。「炒めた香ばしさがあるのも、迷客夏の特色です」と黄士瑋は言う。

「私たちのドリンクは安心して飲めます。原材料はすべて天然のもので、人工の添加物は加えていませんから」と話す黄士瑋は迷客夏のチームを率い、自分の子供に飲ませるつもりで、安全でおいしいドリンクを作っている。彼らは現在、台湾に260店を持ち、今年2月には、タロイモミルクとヴァローナ100%ココアミルクの2つが、A.A. TASTE AWARDSの三つ星を受賞した。

台湾で盛んなドリンク産業は、ドリンク自体からカップのデザイン、店舗設計まで手が込んでいる。ドリンクであるだけでなく、台湾文化が凝縮していると言える。

 

ドリンクに見る台湾のデザイン

台湾のドリンクはますます精緻になり、おいしくて身体にやさしいだけでなく、パッケージも良くなっている。小さなカップに台湾文化が凝縮されているのである。

2014年に創業したドリンクブランドの「春芳号」は、目を引くカップのデザインで内外から注目を浴びている。もともとドリンクが好きだった創業者の林峻丞と李冠璇は、起業する前に台湾各地のドリンクを飲んで回り、ブランドの重要性を認識した。そこで二人はドリンク自体の開発に力を注ぐだけでなく、春芳号をブランドとして世界に打ち出すにはどうするべきかを考えた。

李冠璇は、ドリンクを味覚だけでなく視覚でも楽しめるものにしようと考えた。そこで、ドリンクを飲むことで心が晴れるように、花をブランドの象徴とした。「桃花」カップは人との縁や仕事運がアップするとし、また春節には「招財」と「進宝」の2種類のカップを打ち出した。赤い「招財」カップには招き猫が描かれ、黄色い「進宝」カップには花や孔雀、ゴールドなどが描かれている。李冠璇によると、ドリンクを予約する時に、廟の活動で使うために「招財」カップを指定する人もいると言う。

台湾文化を愛する二人は、タイワンツキノワグマやタイワンジカ、イノシシ、原住民族のトーテムといった台湾のモチーフを取り入れた動物カップも作っている。台南出身の林峻丞は、故郷への思いから台南の安平古堡や孔子廟などのスポットを描き込んだ台南カップもデザインした。このシリーズは非常に台湾らしいもので、海外の支店でも人気があるという。

林峻丞(左)と李冠璇(右)は春芳号を設立した当初から、このブランドを世界に打ち出そうと考えてきた。
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