2023-06-18 観光

一杯に込められた思い―― 世界で愛される 台湾のドリンク 

注目ポイント

先頃、Googleは、タピオカティーを作るゲームを打ち出した。台湾生まれのこのドリンクは今では世界中で注目され、認知されている。台湾の街を歩けばいたるところにドリンクスタンドがあるが、どの店もそれぞれの特徴があり、一杯のドリンクに創意が結集している。台湾のハンドシェイクドリンクは、どのようにして生まれ、また世界へと進出したのだろう。

文・陳群芳 写真・林格立 翻訳・山口 雪菜

経済部(経済省)の統計によると、2022年、台湾のドリンクスタンドの売上は1000億台湾ドルを超えている。また財政部(財務省)が発表した営利事業者数を見ると、2022年11月現在、全台湾のドリンクスタンドの数は2万8000店を超えており、その密度の高さに驚かされる。

昔から熱いお茶を飲む習慣を持つ人々が、この数十年でなぜ冷たいドリンクを好むようになり、またさまざまなフレーバーが出現するようになったのだろうか。

 

衝突から生まれる味

50年余り前、いつも患者のために辛そうな表情をしていた医者の父親が、お茶を飲む時だけ笑顔を見せるので、その息子は「お茶を飲むのは楽しいことなんだ」と思っていた。この少年は、後に春水堂を創設した劉漢介である。

お茶を愛する劉漢介は、世界各地の茶の産地を訪れて研究し『中国茶芸』という本にまとめた。お茶は世界中で千年以上にわたって飲まれてきたが、民族によって飲み方が違うという。歴史や地理の角度から見ても、茶を扱う商売は長続きする良いビジネスである。だが、台湾で昔から普及してきた茶を入れる作法や茶器は、複雑で年配者からは好まれるが、若者はかき氷や炭酸飲料を好む。どうしたら若者にも茶に親しんでもらえるか、劉漢介は考えるようになった。

そんな中、日本の喫茶店で、友人がアイスコーヒーを注文したところ、マスターはサイフォンで淹れたコーヒーをシェイカーに注ぎ、氷を加えてシェイクしていた。これを見た劉漢介は、同じ方法でアイスティーを作ってほしいと頼んだが、茶は熱くなければならないと断られた。納得できなかった劉漢介は、台湾に戻ると自分でシェイカーを使ってアイスティーを作り、それが現在のバブルティーとなったのである。

1983年、劉漢介は「陽羨茶行」を開き、茶器を販売するだけでなく、店内にカウンターを設けてシェイカーで作ったバブルティーを販売し始めたところ、その冷たいお茶が好評を博した。ここにビジネスチャンスを見出した彼は、台中の四維街に店舗を買って「春水堂」を開き、そこから台湾の茶文化を書き換えていった。

 

ティードリンクの魅力

紅茶に氷を入れて冷やしたものだが、シェイクするとどう変わるのだろう。春水興業グループのマネージングディレクター劉彦伶によると、シェイカーで衝撃を与えることで、氷と茶が融合し、さらに泡立つことで茶の構造と味わいが変化するという。グラスに注ぐと上の方にきめ細かい泡が浮き、味わいが層を成すのである。

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