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台湾の国立政治大学は、初代学長で元総統の蒋介石の肖像画を講堂から撤去し、校内の「蒋公銅像」のバス停の名称も改称することを決定した。学生会は、肖像画が統治者に対する崇拝を表現していると主張し、移行期の正義促進条例に基づいて提案した。学生会は、今後も校内にある党関係者の名がついた建物や肖像画について検討が必要だと強調した。

(台北中央社)北部・台北市の国立政治大学が、同大の講堂に飾られている初代学長、蒋介石元総統の肖像画を撤去し、校内に設置されているバス停の名称を「蒋公銅像」から改称することを決めたことが15日までに分かった。
同大は1927年、現在の野党・国民党の幹部の育成を目的に中国・南京で創設された中央党務学校をルーツに持つ。現在地に移転してからも、校内の一部の建物には党関係者の名が冠された他、蒋氏の銅像が複数設置された。
同大学生会はフェイスブックを通じ、2017年に施行された「移行期の正義促進条例」に基づいて肖像画の撤去と停留場の改名を学校側に提案したと説明。肖像画については名誉学長を記念しているのではなく、統治者に対する崇拝を表現しているなどと指摘し、審議の結果、賛成意見が反対を上回り、撤去が決まったとした。
またバス停名は、学生寮につながる階段の入り口に近いことから、この階段の通称で、急な坂道を意味する「好漢坡」への改称が決まったとしている。
同大は16日、中央社の問い合わせに対し、台北市政府公共運輸処と連絡を取り、バス停名の改称手続きを進めている他、肖像画については図書館内の校史館で保存すると回答した。
学生会は、校内には党関係者の名が冠された建物や肖像画が依然数多くあるとして、今後も検討が必要だと強調。「国父」や革命運動などで命を落とした「先烈」を引き続き記念するかどうかは、将来の学生や台湾社会に考えてもらいたいとコメントした。
同大の在り方を巡っては、2017年に国民党との結び付きを示す校歌の歌詞が、社会の変化や学生の働きかけを受けて変更された他、18年には中正図書館内に設置されていた蒋氏の座像も撤去されている。
(陳至中/編集:齊藤啓介)