2023-06-16 政治・国際

米国と緊密だったサウジが中国に急接近 投資大臣「世界秩序の多極化に一翼担う」

© Photo Credit: GettyImages サウジのハリド・アルファリハ投資大臣

注目ポイント

サウジアラビアの首都リヤドで今週開催された経済サミットで、サウジと中国は鉱業、テクノロジー、再生可能エネルギーなどへの100億ドル(約1兆4000億円)の投資を発表した。米政府は、最も緊密な中東同盟国との関係を中国が深めていることに不安を募らせる中、サウジの投資大臣は同国が中国同様、多極化する世界の一翼を担うことになると明言した。

アルファリハ氏は、「重要なことは、中国やサウジの企業も、他の発展途上国に寄与する形で、第三国に投資する機会があると考えていること。このビジネス会議は、南と南の協力とパートナーシップの傾向が高まっていることを示している」と指摘。〝グローバルサウス〟と呼ばれる新興国や途上国には、今や技術と資本が潤沢に集まる拠点が数多くあるため、以前の世界秩序のように、もはや先進国に依存する必要はなくなったと主張した。

サウジアラビアと米国の80年以上にわたる関係は、米国による安全と引き換えにサウジが石油を提供するという構図に要約されることが多い。米国はサウジアラビアに軍事拠点を置き、先進兵器を提供し、サウジ軍の訓練や共同作戦を実施している。だが、バイデン政権はサウジの人権侵害を非難し、石油生産量を増やすよう圧力をかけようとしたが効果はなく、両国の関係は近年緊張したものになった。

一方、中国はサウジアラビアの最大の貿易相手国であり、石油の最大の買い手として、特に経済面で長年にわたって関係を深めてきた。だが、両国の関係は戦略的というより、機能的かつ経済的なものであり、これがサウジにおける米国の役割にすぐに取って代わる可能性は低いことを意味しているが、その環境も徐々に変化してきている。

サウジアラビアは近年、中国製の軍事ドローン(無人機)など、湾岸同盟国に米政府が売却に消極的だった兵器を購入している。同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子が同盟関係を多様化し、独立性を高めようとしているため、サウジでは技術移転や中国のインフラプロジェクトも成長している。

中国の習近平国家主席は昨年12月にサウジアラビアを訪問し、両国は当時の中国外務省が「中国とアラブ関係の歴史における画期的なマイルストーン」と呼んだ戦略的パートナーシップ協定に署名した。

 

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