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サウジアラビアの首都リヤドで今週開催された経済サミットで、サウジと中国は鉱業、テクノロジー、再生可能エネルギーなどへの100億ドル(約1兆4000億円)の投資を発表した。米政府は、最も緊密な中東同盟国との関係を中国が深めていることに不安を募らせる中、サウジの投資大臣は同国が中国同様、多極化する世界の一翼を担うことになると明言した。
サウジアラビアの首都リヤドで今週、2日間開催された「第10回アラブ・中国ビジネス会議」で、中国とサウジが100億ドル(約1兆4000億円)相当の投資協定に合意。中東におけるパワーバランスの変化の兆候が現れた。サウジ国営通信社SPAは、テクノロジー、再生可能エネルギー、農業、不動産、鉱業、観光、医療など複数の分野にわたって30の協定が結ばれたと伝えた。
同会議は中国から史上最大規模の代表団のほか、アラブ諸国など26か国以上から約3500人のビジネスリーダーや指導者らが出席する巨大会議として知られる。ドイツ国営放送局DWは、これまでサウジアラビアは中東における米国の主要パートナーであり、中国との今回の合意は、この地域における米国の影響力が低下していることのさらなる証拠となったと伝えた。
同会議に出席したサウジのハリド・アルファリハ投資大臣は13日、米CNBCとのインタビューで、多極化する世界において、サウジアラビアは中国をキーパートナーとみているとし、両国は共通の利益が増大するにつれ、さらに接近していくだろうと明言した。
「これはある意味、多極化する世界秩序だが、実際、それはまだ構築されていない。中国はその中で重要な役割を果たしている」と指摘。アルファリハ氏が言う「多極化する世界」とは、西側のみによる一極支配や、冷戦時代のように2大大国間が対峙した世界システムではないものを意味する。
「わが王国はこの多極化した世界の重要な部分を占めていると考え、それはすでに証明されていると思う。われわれは自国経済の発展だけでなく、地域の発展においても役割を果たし、開発機会という点で、われわれが持っているものをアフリカ、中央アジア、インド亜大陸にも広げていく考えだ」と語った。その上で、「中国とサウジアラビア、GCC(湾岸協力会議)、そしてアラブ地域全体との間の経済協力がその重要な部分を占めると思う」と続けた。
冷戦後、米国は卓越した世界大国であり、経済力、軍事力、地政学的力の点で、世界で最もパワフルな勢力として存在してきた。だが、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)など新興国の台頭、そして米国主導の紛争と制裁キャンペーンに対する反発から、新たな世界秩序を求める声が高まった。そこでは権力がさまざまな国にさらに広く分散されてきている。
米・中関係のバランスを取る役割を果たす中で、サウジアラビアは自らも多極化して分散したパワーの一翼を担うと考えている。石油をもとにした金融力を駆使して国際貿易と投資を強化し、サウジはより積極的なプレーヤーとして、世界での影響力を得ているという。