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中国と台湾は、それぞれ2021年9月に環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)への加盟を申請したが、今年3月末にその前に申請した英国の加盟が正式に承認されたため、今後は中国と台湾の申請について検討することになった。 しかし、香港メディアの報道によると、中国はオーストラリア政府に圧力をかけており、中国のCPTPP加盟を支持し、台湾の加盟を拒否することを期待しているという。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が22日に報じたスクープによると、複数の関係筋が、中国側はオーストラリアのドン・ファレル貿易・観光担当相が5月に訪中した際に、中国のCPTPP加盟を支持し、台湾の加盟は拒否すると「明確に約束し、できれば公に表明する」ことを望んだと明かした。
サウスチャイナ・モーニング・ポストは、複数の関係筋から得た情報として、オーストラリアは中国がCPTPPに加盟することに「異議はない」が、中国はまずCPTPPの貿易基準を満たさなければならないと考えていると報じた。 また、中国側のオーストラリアへの貿易制裁が解除されておらず、オーストラリアが現時点で中国の加盟を公然と支持する可能性は低いと指摘する関係筋もいる。
中国のCPTPP加盟は、豪中関係が改善に向かっている今、双方の重要な議題となっている。オーストラリアと中国の間では、2020年に貿易戦争が勃発。中国がワイン、ロブスター、石炭、木材、大麦など多くのオーストラリアの輸出品に貿易制裁を課したため、輸出業者の損害は数億ドルに上った。
だが、貿易制裁をめぐるオーストラリアと中国の緊張は徐々に雪解けに向かっている。5月11日から13日の日程でオーストラリアのファレル貿易・観光担当相が訪中を果たすと、中国はオーストラリア産木材の輸入を再開すると発表した。ファレル貿易・観光担当相は訪中後、オーストラリア産綿と銅の輸出も再開するが、大麦と赤ワインの輸出再開については引き続き、双方の落とし所を探る努力をしていくとした。
台湾外交部「オーストラリア政府の立場は変わらず、台湾のCPTPP加盟を支持」
台湾外交部(外務省に相当)の劉永建報道官は、サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道に関して、TheNewsLensの取材に次のように答えた。「オーストラリアのファレル貿易・観光担当相が12日に中国の王文濤商務相と共に第16回合同閣僚経済委員会の共同議長を務めたが、その際、ファレル貿易・観光担当相は報道陣に対し、王商務相が中国のCPTPP加盟に言及したと述べる一方、中国のCPTPP加盟への承認は、必ず全ての加盟国のコンセンサスを得なければならないと強調した」
台湾のCPTPP加盟問題について、劉報道官は「オーストラリア政府の立場は変わらない。台湾を含むCPTPPの高い基準を満たす全てのエコノミーの加盟を歓迎している」と応じた。 劉報道官は「台湾とオーストラリアは近年関係が深化し、2022年の二国間貿易額は318億7000万米ドルに達し、今では台湾はオーストラリアにとって第4位の輸出国であり、第5位の貿易相手国となった」と強調した。豪政府も多くの国際会議等において、台湾海峡の平和と安定の重要性を繰り返し述べ、台湾の国際組織への実効性を持った参加を支持すると表明している。