2023-06-14 ライフ

春香クリスティーンさん 「政治オタク」の原点は故郷スイスに

注目ポイント

スイス・チューリヒ出身の芸能人としてテレビを中心に活躍する春香クリスティーンさん(31)。swissinfo.chとの取材で、自身のキャリアにおける「スイスネス(スイスらしさ)」について語った。

時にコメンテーター、時にリポーターとして活躍する春香クリスティーンさん。5月の広島主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)ではリポーターとして現地を取材した Horipro

ある時はバラエティー番組のゲスト、ある時は情報番組のコメンテーターやリポーター。5月には広島で開催された主要7カ国(G7)のメディアセンターなど舞台裏を取材他のサイトへした。「必ずしもその分野の専門家ではない人がニュースにコメントするのは日本独特のスタイル。だから、自分の職業をスイスの人に説明するのはちょっと難しいです」と冗談めかす。

日本人の父、スイス人の母を持ち、チューリヒで生まれ育った。衛星放送で日本の子供向けやお笑い番組を観て過ごし、夏休みに遊びに行く日本に憧れるようになった。小学校低学年で転校先のクラスに馴染めず、週1回通う日本語学校が安息の時間となった。「自分と同じルーツの子供に囲まれて、居心地がよかった」。日本への憧れは次第に執着へと変わり、ギムナジウム4年生を終えた16歳の夏、家族を説き伏せて単身日本に移住した。

テレビ業界に憧れ、最初は芸能事務所主催のオーディションの門を叩き、ガールズ演劇ユニットへの所属が第一歩。得意技は芸人の物まね他のサイトへ、しかもドイツ語で。これがブレイクし、バラエティー番組やワイドショーに引っ張りだこになった。レギュラー番組が10本もあるほどの人気ぶりを博していた2018年3月に休業宣言。カナダ留学や結婚・出産を経て、2022年秋に復帰し、再びテレビで活躍するようになった。今は大阪や名古屋、静岡など地方局での仕事も多く、子育てをしながら週2~3回は新幹線で出張する生活だ。

意見を言わない日本人

キャリアを築くなかで、「政治オタク」という触れ書きは大きなセールスポイントとなった。一時は国会議事堂のある永田町に住居を移し、若者向けに政治や選挙制度を解説する本も出版した。政治に関心を持つようになったきっかけも、スイスにある。

「政治がものすごく好きとか、政治活動をしていたわけではないんです。私のなかでは、政治は生活の中に当たり前にあるものでした」。スイスの学校の授業では常に自分の意見を求められ、友達どうしの会話でも政治が話題に上った。年に4回の国民投票の時期にはニュース番組や町中がその話題であふれ、未成年でも政治を考える機会が日常的にある。

swissinfo.chのインタビューに答える春香クリスティーンさん swissinfo.ch

だが日本で高校に通ってみると、環境は全く違った。「みんな意見を言わないし、言うとしても型通りの無難な意見。どこか、政治に興味を持ってもしようがない、という雰囲気がありました。それはなぜなのか疑問に思い、自分で現場を見ようと永田町に足を運ぶようになりました」

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