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5年前にユネスコ(国連教育科学文化機関)を脱退した米国が、7月に再加入する見通しとなった。アズレ事務局長が今週、フランス・パリにあるユネスコ本部で開かれた臨時の会合で明らかにした。米国不在で、技術覇権を狙う中国の影響力が強まることに懸念が広がる中、バイデン米政権は復帰を決めた。
12日のアズレ氏の発表を受け、中国特使の金洋大使は米国の不在による悪影響を指摘し、この動きは米国が多国間主義に真剣であることを意味するとの期待を表明。「国際機関の一員であることは重要なことであり、今回の米国の復帰が国際機関の使命と目標を認めることを意味することを願う」と述べ、表面上は反対の姿勢を示さなかった。
復帰にあたり、バイデン政権はユネスコへの分担金と滞納分に充てるため、2024年度予算に1億5000万ドル(約210億円)を要求。これまでの未納分6億1900万ドル(約867億円)を全額払い終えるまで、今後数年間、議会に対して同様の要求を行う。この金額はユネスコの年間運営予算5億3400万ドル(約748億円)の多くを占める。脱退前、米国はユネスコの予算の22%を拠出していた。
レーガン政権時代の1984年に、米国は一度ユネスコを脱退している。当時は、ユネスコの管理が不適切で腐敗し、ソ連の利益を促進するために利用されていると主張していた。その後、2003年に再加入した。
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