2023-06-13 政治・国際

中国がキューバにスパイ基地、19年に増強  米紙報道を受け、ホワイトハウス当局者明かす

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米国の目と鼻の先にあるキューバを拠点とし、中国が数年間に渡りスパイ活動を展開しているとの報道を受け、バイデン政権当局者は、中国が2019年にキューバの情報収集施設を増強していたことは「(米国側の)機密情報として記録されている」と明言。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は12日、キューバ政府に懸念を伝えたと明らかにした。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は10日、米政府筋の話として、中国が少なくとも2019年から、米国の目と鼻の先にあるキューバにスパイ基地を置き、情報収集を続けていると報道。ホワイトハウスは中国が以前から世界各地で情報収集施設を拡充し、キューバにも既に施設があるとの見方を示したとしている。

同紙は8日、中国が米国の情報を収集するため、キューバにスパイ施設を設置する計画で大筋合意したと報道。だが、米政府は「不正確だ」と否定。バイデン政権当局者は10日、匿名を条件に、中国の動向は「継続中の案件で、新たな動きがあったわけではない」とし、「報道内容は、われわれの理解と一致しない」と指摘したという。

同当局者は、この問題はバイデン氏の大統領就任以前から既に存在しており、世界中で情報収集インフラを強化する中国政府の取り組みの一環だと述べた。その上で、「中国は19年にキューバの情報収集施設を増強し、これは情報記録に十分に記録されている」と付け加えた。

さらに同当局者は、中国が大西洋、ラテンアメリカ、中東、中央アジア、アフリカ、インド太平洋に及ぶ多数のスパイ活動のための拠点を置くことを検討していると指摘。「この取り組みに、キューバにおける中国の情報収集施設の存在が含まれていた」と説明した。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は12日、ホワイトハウスでの記者会見で、「中国との2国間関係が緊張していることは理解している」とし、「バイデン大統領が中国との対話の窓口をオープンにしておきたいという事実は、何も変わっていない」と述べた。その上で、今週末に予定されているブリンケン国務長官の訪中について、キューバにある中国のスパイ施設に関する報道で影響を受けるとは考えていないと語った。

10日のWSJ紙の報道を受け、ワシントンの中国大使館関係者は同日、中国外務省報道官の声明を引用し、米国は「噂と中傷を広めている」とし、「米国は世界で最も強力なハッカー帝国だ」と批判。中国外務省の汪文斌・報道官は記者会見で、米国は「キューバの内部事情に介入している」とし、「憶測を広めたり中傷したりするのは米国の常とう手段だ」と断じていた。

また、キューバのカルロス・フェルナンデス・デ・コシオ外務次官は報道について、「全くの欺瞞」として一蹴し、この報道は米国による数十年にわたるキューバに対する経済制裁を正当化するための米国の捏造だと主張した。同氏は、キューバはラテンアメリカおよびカリブ海地域における外国軍事駐留をすべて拒否していると強調した。

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