2023-06-13 観光

鉄路弁当フェア―熱い台湾の駅弁―

注目ポイント

6月9日から12日まで台北駅コンコースで第8回鉄道弁当フェスティバル(鉄路便当節)が開かれました。島根県の一畑電車からはヘルシーな蕎麦弁当、青森県の青い森鉄道からは青森ホタテ弁当、しなの鉄道からは牛カルビ弁当が販売され、人気を博していました。今年は台湾を始め、日本やスリランカの鉄道事業者など42事業者が出展、10日土曜日には来場者数が12万人にも上り、この日の売り上げは230万元(約1042万円)を記録しました。今回は台湾の鉄路弁当、駅弁についてご紹介しましょう。

日本と台湾の駅弁の歩み

日本では1885年に「白木屋」という旅館が宇都宮駅でおにぎり2個、たくわん2切れを竹の皮に包んで5銭で販売したのが駅弁の始まりとされています。明治政府は台湾占拠初期から台湾の鉄道事業に力を入れ、1908年には基隆-高雄間(404.2キロメートル)が全線開通しました。そのころから日本とあまり変わらない駅弁が台湾にもありました。

戦後1949年から、台湾鉄路局は松山駅、台北駅、台中駅、高雄駅、花蓮駅など5つの駅構内食堂の従業員による弁当車内販売を開始、その後、車内販売だけではなく、駅ビルや駅近くの食堂でも販売するようになり、今に至っています。年間売り上げ個数1000万個以上で、鉄道は赤字でも黒字の駅弁で元を取っていると一部の人から揶揄されているくらい根強い人気があります。

日本の駅弁は、シューマイ弁当、イカメシ、牛タン弁当、牡蛎飯などその地域を代表する弁当が豊富に取り揃えられています。台湾の駅弁は、メニューがもう何十年もほとんど変わっていないのに今でも老若男女に愛されています。不思議と言えば不思議ですが、一口食べたらあなたも台鉄弁当のとりこになるでしょう。

 

鉄路弁当節

先週金曜日(9日)から今週月曜日(12日)まで台北駅一階のコンコースで鉄道弁当フェスティバルが開かれました。今年で8回目となります。台湾、日本、スリランカなど多くの鉄道事業者が参加、駅弁の販売はもとより、花蓮駅や南港駅にあった貴賓室を再現したブースや遊戯コーナー、スタンプラリー、豆知識コーナーなど鉄道ファン、駅弁好きにはたまらないイベントでした。台鉄は13種類の駅弁を用意しました。その中でも特に人気を集めたのは、新型特急車両EMU3000型電車をかたどった容器に、沖縄産A5ランクの和牛やトリュフソースを混ぜたご飯などを入れて販売した駅弁でしょう。毎日100個の限定販売でお値段はなんと普通の駅弁の10倍、999元(約4500円)です。

台鉄弁当ブース
人気の東武鉄道ブース
しなの鉄道ブース
銚子電気鉄道ブース

また、日本の事業者では、しなの鉄道が牛カルビ弁当を、JR東日本は東北新幹線E5系はやぶさの容器におにぎりなどを詰めた駅弁を販売し、大人気でした。

しなの鉄道人気の弁当箱
しなの鉄道牛カルビ弁当

© Jessica LiのFBより

JR東日本はやぶさ弁当

 

ステンレス製円形弁当箱、なぜ大人気?

今回もう一つ注目されたのは、何の変哲もないごく普通のおかずが詰められたレトロな駅弁です。かつて台鉄の駅弁は全てステンレス製の容器で売られていましたが、コストがかかりすぎることと、みんな持ち帰るので回収率が低いことから木製に改められ、現在は紙製の容器で販売されています。しかし近年のレトロブームの高まりを受け、ステンレス製円形弁当箱の駅弁が時々復刻版として販売されていました。それに加えて、台湾鉄路局が来年株式会社になることが発表され、「台湾鉄路管理局」の文字とロゴマークが彫ってあるステンレス製弁当箱も今年で見納めかも、ということで今年の鉄道弁当フェスで大きな話題となりました。

© 交通部臺灣鐵路管理局 TRA粉絲頁

 

台鉄弁当と名物駅弁

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