2023-06-16 流台湾

まさに高嶺の花…台湾における日本産の花事情

注目ポイント

日本産の花は品質と美しさでは群を抜いているが、台湾では流通量が少なく“高嶺の花”だ。その魅力を知ってもらうために日台の花関係者ができることとは。

国が違えば、文化も全く異なったものとなる。特に花はその国の文化と密接に関係していることから、私が台湾で経営している花屋には「花を通じて日本文化を知りたい」という台湾人のお客様も多く来店する。

親日国として知られる台湾では、日本の文化体験や日本製品、日本料理店などが大変人気で、街中には日本語教室も多く、日本語の話せる台湾人が少なくない。私が開講しているいけばなレッスンの生徒には、日本人よりも日本文化に詳しい台湾人さえいる。そのため、レッスンで使う花材はなるべく日本産を用意したいと常に思っているが、問題なのは、台湾では日本産の花は流通量が非常に少ないことだ。今回は、そんな台湾における日本産の花事情についてご紹介していく。

 

市場価格が高額すぎる日本産の花

日本でも同様だが、海外から輸入された花材は高価な場合が多い。例えば、日本産のデルフィニュームは、台湾の市場価格で5本約1,600元(約7,200円)、1本あたり約320元(約1,440円)が相場で、小売店では3〜4倍の値段が付けられることが多い。仮に3倍だとしても1本約960元(約4,320円)である。もちろん、できるだけ低価格にしている花屋も多いが、一般庶民には手の届かない花となってしまっているのが現状である。

輸送コストや関税、貿易会社や市場の手数料、仲卸業者の利益などが上乗せされるため、ある程度高額になるのは仕方のないことだ。だが、それらを考慮しても、市場価格自体が高額すぎると個人的には感じている。

日本産の花はとても品質が良く、台湾では見かけない花が豊富なため、大切な人へのプレゼントにぜひ購入したいと思うお客様もいるが、値段を聞いてその高さに驚き、購入に至らないケースは市場でも花屋でもよく目にする光景である。市場で買い手がつかず廃棄されている日本産の花を見ると、日本人としては心が痛む。

一般の人が花の品質を見抜くのは難しく、その価値を判断するには値段に頼らざるを得ない。そのため、高額な花=品質の良い花だと思い、高額だが実は品質の悪い花を市場の仲卸からつかまされることもある。こういったことが繰り返されると、日本産の花の品質に対する信用も失われてしまいかねない。

日本産の芍薬
日本産の芍薬

 

日本産の花をより多く流通させるために

日本産の花を台湾でより多く流通させ、一般の人へ届けるには、日台の花市場、台湾の仲卸、台湾の花屋がそれぞれ努力する必要がある。実際に大阪の梅田市場の方々は、台湾の花市場に何度も来て日本産の花のPRに努めているし、日本の業者と独自に貿易関係を築いている台湾の仲卸も大勢いる。

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