2023-06-12 経済

台湾半導体研究所「カスタマイズシステムチップ設計プラットフォーム」を開発、コスト削減30%、チップの開発効率大幅に向上

注目ポイント

台湾の半導体産業が新しい段階に入ることになった。 台湾の国家科学技術委員会は9日、国家実験研究院が「カスタマイズシステムチップ設計プラットフォーム」を開発したと発表した。これにより半導体の研究者らがシステムチップのキーテクノロジーの研究開発に専念できるようになる。プラットフォームの効果は目を見張るもので、チップの生産コストを30%削減したほか、設計から検証までにかかる時間も短縮され、チップの研究開発効率が大幅に向上した。プラットフォームは現在公開され、台湾の研究者は申請により使用できる。

また、半導体研究所の経験豊富なエンジニアがチップ設計やデバッグに参加することで、高性能かつ低消費電力のチップを効率的に設計することができ、大学等の研究機関が高度な設計ルールに不慣れなために生じるロスを低減することができる。推計では、各設計案のチップ材料と生産コストは30%削減でき、300万元かかるものが200万元まで引き下げることができる。

また、「チップの検証時間」も大幅な短縮が可能になる。台湾半導体研究所の蔡維昌研究員によると、これまで数日から数週間かかっていたソフトウェアのシミュレーション時間を40分まで短縮でき、チップ製作からシステムのデモンストレーションまでの期間に至っては少なくとも6ヶ月短縮できるという。

このプラットフォーム開発におけるもう一方の立役者は、台湾大学電気工学科の楊家驤教授が率いるチームだ。 楊教授のチームは台湾半導体研究所と共同でプラットフォームを活用し、3種のカスタマイズされたシステムチップを完成させた。それぞれ従来よりも演算性能が4倍から6倍向上した「AI計算高速化チップ」である。

今回開発された3種のシステムチップは、いずれも「IC設計のオリンピック」と称されるISSCC国際シンポジウムにおいて発表され、高く評価された。 この点について、半導体研究所の侯拓宏主任は、「国家科学技術委員会の指導の下、半導体研究所と大学が研究リソースを共有し、半導体の技術開発とシステムチップ設計の検証時間を短縮させ、技術力を大幅に向上させたことにより、最先端の研究成果を生み出した」と述べた。


 

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