2023-06-12 経済

台湾半導体研究所「カスタマイズシステムチップ設計プラットフォーム」を開発、コスト削減30%、チップの開発効率大幅に向上

注目ポイント

台湾の半導体産業が新しい段階に入ることになった。 台湾の国家科学技術委員会は9日、国家実験研究院が「カスタマイズシステムチップ設計プラットフォーム」を開発したと発表した。これにより半導体の研究者らがシステムチップのキーテクノロジーの研究開発に専念できるようになる。プラットフォームの効果は目を見張るもので、チップの生産コストを30%削減したほか、設計から検証までにかかる時間も短縮され、チップの研究開発効率が大幅に向上した。プラットフォームは現在公開され、台湾の研究者は申請により使用できる。

国家実験研究院提供|(左から)台湾半導体研究所・張育蒼副研究員、陳麒旭グループリーダー、庄英宗副主任、国立台湾大学電気工学部・楊家驤教授、国家実験研究院・林法正院長、台湾半導体研究所・侯拓宏主任、蔡維昌研究員

Apple、Google、Amazon、Tesla自社開発チップがトレンドに

台湾の国家科学技術委員会によると、新しいアプリケーションはハードウェアにより高い性能を求めるため、システム・チップを自社開発する傾向が強まっているという。例えば、AppleのMacシリーズは、独自に開発したM1チップとM2チップを搭載している。

他にもGoogleは自社で開発したTensorを携帯電話Pixelシリーズに搭載し、アマゾンはクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)の強化のためにGravitonを開発、テスラはAIトレーニングセンターと車の自動運転に使用するためにDojoを開発している。

国家実験研究院の林法正院長によると、カスタマイズされたシステムチップはすでにトレンドになっており、代表的な例としてAppleのMacコンピュータ、GoogleがスマートフォンPixelのために開発したTensor、Amazonが自社のクラウドサービスのために開発したGravitonを挙げた。

林院長は次のように述べている。世界の代表的なIT企業は、すでに用途に合わせてカスタマイズしたシステムチップを次々と開発しており、カスタムメイドのチップ設計がトレンドであることを意味している。そして国家実験研究院が9日に発表した「カスタマイズシステムチップ設計プラットフォーム」の運用開始により、台湾の半導体産業は新しいフェーズに入った。

林院長の説明によると、カスタムチップは、様々なデバイスのプロセッサやメモリ、あるいはそれらを統合したものなど幅広い用途で使用できるものであり、各アプリケーションに対応したカスタムチップを開発できるという。 例えば人工知能に応用すれば、物体の識別ができるし、ロボット制御に応用すれば制御チップを作ることができる。遺伝子配列の解析に応用するなら、医療用のチップを作ることになる。

つまりはレゴブロックを組み立てるときのように、先に土台を作るということであり、大学や研究機関はプラットフォームを利用することでチップをゼロから設計する必要がなくなり、カスタマイズしたアプリケーションと統合するだけで済むようになる。

林院長は、従来のチップ開発は、複雑な回路の製作に何日も費やさなければならず、その事が研究に携わる大学院生たちのストレスになっていたと明かした。そして彼らの悩みを解決するために、「カスタムシステムチップ設計プラットフォーム」が開発された。

 

プラットフォームの活用で、チップの設計コストが約30%削減

半導体研究所の発表では、このプラットフォームにはASICとFPGAの両方の機能が含まれており、研究者達のバックエンド工程の経験不足を補うことができる。

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