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英国のトゥゲンハット安全保障担当相は今週、英国各地で報告されていた中国の〝秘密警察署〟がすでに閉鎖され、調査した結果、これらの拠点で中国による違法行為は確認されなかったと結論付けた。中国当局は、英国で秘密警察署を運営していたという主張は「完全な政治的嘘」と反発している。
英国のトゥゲンハット安全保障担当相は6日、国内各地で報告されていた中国の非公式警察署(秘密警察署)が既に閉鎖され、これら中国政府の出先機関が違法行為を行ったことは確認されなかったとした。
ロイター通信によると、英国は先に、中国の秘密警察署が国内に存在するとされる問題について、「中国などが英国内で外国人に対して行ういかなる脅迫行為も容認しがたく、状況を捜査している」と発表していた。一方、中国はロンドンの大使館を通じて声明を出し、英国で秘密警察署を運営しているという非難は「完全な政治的嘘」だと反論した。
英紙ガーディアンによると、トゥゲンハット氏は議会への答弁書で、捜査当局は国内3拠点でこうした秘密警察署が運営されているとする非政府人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」による告発を調べてきたと説明。「指摘された拠点で中国政府の出先機関が違法行為を行った証拠は確認されていない」とし、その上で、秘密警察署の活動に対する警察や国民の監視が、違法行為をさせないという抑止力になったと述べた。
中国政府は以前、海外在住中国人のためにパスポートなどの書類更新やその他のサービスを提供することを目的として、中国の警察官ではなく地元の中国人ボランティアが運営する支援センターが海外にあるとしていた。
ところが、4月には米連邦捜査官がニューヨーク・マンハッタンのチャイナタウン地区で、違法に「秘密警察署」を運営に関わった疑いでニューヨーク在住の中国系住民2人を逮捕した。米当局は「中国公安省はニューヨークの中心で警察署を運営するなど、米国の主権を繰り返しあからさまに侵害してきた」と中国を批判。これに対し中国当局は、「米国による誹謗中傷」に断固として反対するとしていた。
ガーディアン紙によると、英政府はこれまで、中国の秘密警察署が海外に約100か所存在することを把握していると指摘。「外務・英連邦・開発省は中国大使館に対し、英国におけるこのような〝警察署〟に関連するいかなる活動も容認できず、どのような形態であっても運営してはならないと伝えた」とトゥゲンハット氏は述べた。
その後、中国大使館は英国側に、指摘された施設は全て完全に閉鎖されたとし、さらなる要請があれば英国の法に従い迅速に調査すると回答していたという。
トゥゲンハット氏の答弁書について問われたロンドンの中国大使館の報道官は、「いわゆる海外の〝秘密警察署〟というものは全く存在しない。中国政府は英政府に対し、虚偽の情報の拡散をやめ、誇大広告や中傷を生み出すのをやめるよう求める」と述べた。