2023-06-08 政治・国際

米俳優B・ウィリスさん認知症診断の衝撃 重篤症状を見逃さないための5つの方法とは

© Photo Credit: GettyImages Bruce Willis

注目ポイント

今年2月、米人気俳優ブルース・ウィリスさん(68)が、前頭側頭型認知症(通称FTD)と診断されたという衝撃的なニュースに、高齢化が進む多くの先進国では身近な問題として、認知症への懸念と感心が高まっている。米誌「フォーチュン」は先週、その認知症について「通常の老化とは違う重篤な症状を見逃さない5つの方法」という特集記事を掲載した。

ハリウッド映画「アルマゲドン」や「ダイ・ハード」シリーズなど数々のヒット作で知られる米人気俳優ブルース・ウィリスさんが昨年3月、失語症のため引退を発表。まだまだ、これからの活躍が期待されていた人気俳優だけに、多くのファンは残念がった。さらに今年2月、前頭側頭型認知症(FTD)と診断を受けたことを家族が公表し、世間に衝撃を与えた。

高齢化が進む多くの先進国では深刻な社会問題として関心が高まる認知症について、米誌「フォーチュン」は英国での最新の調査結果を紹介。それによると、自分自身や愛する人の認知症の症状に気づいた人の3分の1が、その症状についてひと月以上黙っていたことが分かった。

ロンドンの英アルツハイマー病協会が先週発表した調査結果によると、調査対象となった1100人の患者と介護者のうち、気づいた異変をすぐに話したのはわずか15%で、11%はずっと黙っていた。回答者には、認知症と診断された患者とその介護者、さらには潜在的な認知症患者とその介護者も含まれていた。

回答者の4分の1近くが、医療援助を求めるまでに半年以上待っていたことも調査で判明。沈黙を守る最も一般的な理由は、進行性の症状に対する不安ではなく、むしろ、どんな症状が正常な老化で、どの症状が認知症に関連しているのかを正確に知らなかったからだという。

その好例がウィリスさんだ。先月31日付の米誌「ヴォーグ」への寄稿で、娘のタルラ・ウィリスさんは2022年に父親が失語症と診断されたことについて告白し、失語症が話すことや言葉を理解すること、読み書きする能力に障害が起きることを説明。一般的に45~64歳の人に起こる前頭側頭型認知症(FTD)と診断を受けたことについても触れた。国立老化研究所によると、FTDは異常行動や感情管理の困難、コミュニケーションや歩行の困難などの症状の特徴だという。

他の多くの介護者同様、タルラさんも今振り返ってみると、父親の認知機能低下の兆候は明らかだったという。だが当時、彼女は父親の「漠然とした無反応性」を「ハリウッド型難聴」だと受け取っていたとし、「何かがおかしいことはずっと前から分かっていた」と明かした。「その後、父の無反応はさらに悪化し、腹が立つこともあった」と付け加えた。

 

老化と認知症の見分け方

認知症は、軽度から重度までの進行性または持続的な知的機能の喪失を伴う幅広い障害を総称する用語で、最も一般的なものはアルツハイマー病だ。一部の認知力低下は通常の老化プロセスの一つとして発生するが、認知症の症状は明確であり、病気の兆候であると専門家は言う。

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