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台湾の与党・民進党内で相次いで発覚したセクハラ疑惑について、蔡英文総統が改めて社会に対し謝罪し、陳建仁行政院長に対して改革を推進するよう指示したことが明らかになった。また、部会の垣根を超えたジェンダー平等に関する法改正に取り組むことを求め、被害者の告発の権利を守る制度を導入すると述べた。蔡氏は被害者を守るべき人であり、セクハラ事件においては社会全体が自己教育を行う必要があると強調した。

(台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は6日、フェイスブックを更新し、与党・民進党内でセクハラ疑惑が相次いで発覚している問題について、総統と前党主席(党首)の立場で改めて社会に対し謝罪した。陳建仁(ちんけんじん)行政院長(首相)に対して改革を推進するように指示した他、部会(省庁)の垣根を超えたジェンダー平等に関する法改正に取り組み、立法院(国会)の次の会期での優先事項にするよう求めたと明らかにした。
民進党内では先月31日以降、元職員らが過去にセクハラ被害を受けたと相次ぎ告発。6日には蔡氏の後援団体の元職員からセクハラ行為を指摘された顔志発(がんしはつ)総統府資政(顧問)が、蔡氏に対し辞意を表明した。
蔡氏は、これまでジェンダー平等に関して努力を重ねてきたとしながらも、実際には問題を根本的に解決できていなかったと指摘。被害者はさまざまな事情や配慮から声を上げることができず、調査の中で再び苦しみや衆目にさらされることに耐えなければならないと気遣った。
その上で、社会全体は必ず自己教育を行うべきだとし、セクハラ事件の渦中の人は被害者であり、間違いを犯した人ではなく、守るべき人だと強調した。
陳氏に指示した改革については、海外の取り組みを参考にした上で専門家の意見を交えてガイドラインを作成し、職場や学校などのジェンダー平等に関する規則や教育に役立ててもらう他、職場内部の相談窓口が効果的に運用されていない場合、公権力が介入した外部の制度で被害者の告発の権利を守るとした。
また部会の垣根を超えた法改正については、超党派で結束し、社会の共通認識を形成して改正案を立法院に提出したいとの意欲を示した。
(葉素萍/編集:齊藤啓介)