注目ポイント
台湾で物価上昇が急速に進行している。その背景や、若者のキャリア選択や日常生活に与えている影響を、台湾在住の日本人デジタルマーケターが概説する。
こんにちは!台湾大好きライターの津山です。
2023年5月、海外旅行の解禁に伴い、台湾への訪問者数が徐々に増えてきましたね。しかしながら、訪れる方々が気になるのは、台湾で現在急速に進行中の物価上昇です。
台湾行政院のデータによれば、2023年3月の台湾の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比2.35%の上昇を記録しました。特に驚きなのが、生活必需品の物価上昇率が6.12%に達したことです。
外食費、野菜、果物、肉、卵、家賃…日々の生活に必要なものすべてが値上がりし、家計に重い圧力をかけています。その一方で、台湾の平均賃金の上昇率は、物価上昇を追い越すことはできていません。
生活必需品だけでなく、観光客に人気の雞排(鳥の唐揚げ)や珍珠奶茶(タピオカミルクティ)の価格も上昇中です。3年前は65元だった雞排が90元まで跳ね上がるといった状況も生まれています。

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物価上昇は、まさにお金の価値が目減りしているようなもの。台湾在住の筆者としても、この問題を軽視することはできません。
そこでこの記事では、台湾で現在進行中の物価上昇の現状、背後にある要因、そして日常生活への影響について、詳しく解説します。物価上昇がもたらすリアルな影響とは何か、一緒に見ていきましょう!
1.台湾の物価上昇の現状とその背後にある要因
1-1. 台湾物価上昇の現状
台湾の物価上昇は、実際に台湾で生活する筆者を含め、台湾人の生活に深刻な影響を及ぼしています。
冒頭で、生活必需品の物価上昇率が6%に達したことをご紹介しましたが、中でも影響が大きいのが台湾の朝ごはんに欠かせない「卵」です。「卵」はなんと、2022年の平均価格がたった1年で26.39%も価格が上昇しました。
台湾では、朝食店、ハンバーガーショップ、滷味(台湾風煮込み料理)など、卵を使う飲食店が多く見られます。残念ながらこれらの店では、卵を使うメニューを販売停止にしたり、メニューの価格を上げたりせざるを得ない状況になっています。
台湾政府のデータによると、2022年と2021年を比較した場合の台湾の主な物価上昇率は以下の通りとなっています。
衣類:2.38%
食品:5.66%
住居:2.26%
交通関係:3.46%

1-2. 台湾物価上昇の背景
では、台湾を襲う物価上昇の原因はなんでしょうか?大きな理由の1つとして挙げられるのが、台湾が輸入に頼るエネルギーや食料価格の上昇です。
世界で発生する記録的な猛暑や自然災害、コロナによるパンデミックやロシアのウクライナ侵攻による物流停滞などで需給のバランスが崩れ、食品を始めとした輸入品価格を押し上げています。