注目ポイント
台湾でも日本でも、暑い夏を乗り切るために、喉越しの良いあっさりした冷たいものをよく食べます。冷やしそうめん、冷や麦、ざるそば、冷やし汁、冷麺など、麺類がメインですが、日本の町中華屋さんに「冷やし中華始めました」の小さな布つるしを見かけるようになるともう夏です。台湾の涼麺(台湾風冷やし中華)専門店には涼麺が年中あります。台湾の涼麺と日本の冷やし中華、似て非なるもの。さて、どこが違うのでしょうか。
夏はやっぱり冷たい麺
夏の風物詩の食べ物と言えばなにを思い浮かべるかという、日本のあるアンケートの結果、やはり1位は何といってもかき氷(30%)、続いて2位冷やし中華(26%)、3位そうめん(23%)、4位 スイカ(21%)となりました。食事として食べるものの中では冷やし中華がトップです。
筆者のふるさと、広島県呉市は珍来軒の「冷麺」が名物で、毎日お昼には行列ができます。冷麺がウリなだけあって、一年中提供しています。具はチャーシュー、ゆで卵、キュウリ、エビで、麺は細い平麵です。冷麺は日本各地にあって、最近ではほとんどの地域で冷やし中華と呼んでいます。具もトマト、わかめ、コーン、ハム、レタス、鶏肉など、種類がとても豊富です。呉市では冷やし中華のことを冷麺と言いますが、一般的に日本では、冷麺というと盛岡冷麺か韓国風冷麺を思い浮かべる人が多いようです。

台湾も同じようにかき氷や涼麺は夏の風物詩ですが、台湾は冬があまり寒くなく、暑い夏が長く続くので、かき氷や涼麺やスイカは年がら年中あります。消費量は当然夏の方が圧倒的に多いです。では、台湾風冷やし中華、涼麺は日本の冷やし中華とどこが違うのでしょうか。

台湾式「涼麺」
台北では、それぞれの区や街には必ずと言っていいほど有名な涼麺屋が何軒もあり、夏場はどこも長い行列ができています。昼の弁当屋にもコンビニにもあります。涼麺は台湾ではとてもありふれた代表的B級グルメの一つなのです。

基本的に日本の冷やし中華と違うのは、タレの味と具です。涼麺の麺はストレート細麺もありますが、主流はストレート太麺です。日本では、お店の冷やし中華はたいてい鶏ガラスープで出汁を取って、それに酢、砂糖、醤油、生姜、ゴマ油などを混ぜたり、練りゴマでゴマ風味のタレにしたりしますが、台湾の涼麺は日本ほど酢の香りが強くありません。酢を使うことは使いますが、醤油をベースに、ニンニク水や砂糖水や練りゴマ(芝麻醤)やラー油を混ぜてタレにします。店によってはピーナッツペースト(花生醤)でちょっと甘めの涼麺、チリソースで激辛の涼麺、または自分でチリソースや酢をかけて味チェンすることもできます。どれもとてもサッパリしています。

もう一つ大きく違うのは具です。涼麺の具はキュウリの細切りがメインです。別メニューで細切りの鶏肉をのせる涼麺もありますが、日本ほど豪華に色とりどりの具が乗っているわけではありません。手ごろな価格のB級グルメで、いたってシンプルですが、メチャクチャおいしくてクセになること請け合いです。