2021-12-06 政治・国際

ボストン新市長、台湾系女性ミシェル・ウー氏の画期的都市構想 ー見習うべき!「市政初の女性市長」のアイディア

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注目ポイント

台湾には各局を超えた統一性のある枠組みの強化が必要であり、それによって、ようやくミシェル・ウー氏のボストン計画のように、全面的に物事を捉えた施策が可能となる。自然エネルギーの開発により新たな雇用を生み出し、都市農耕によりその土地の経済を促進し、また協力経済により適正な住居環境の整備を推し進める必要がある。

 

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これ以外に、住宅と複合商業施設の温室効果ガスの排出量が、ボストン全体の71%を占めており、ミシェル・ウー氏は住宅の「エネルギーリノベーション」により、その問題を解決しようとしている。断熱材の導入による暖房効率の向上、断熱ガラス等を用いて建物のエネルギー効率を上げる他に、太陽光パネルを設置し、エネルギーを節約、創造することも可能となる。予想では「エネルギーイノベーション」は最低20%から最高で30〜40%のエネルギー節約ができ、一軒あたり27%のエネルギー支出の削減が可能になるとのことだ。

 

緑を増やす都市農耕と植樹による気温下降

 

2030年にはボストンの真夏日(摂氏32度以上)は40日までに増えると予想されており、2070年には夏季のほとんどが真夏日となり、そのうちの33日が38度以上となると予想されている。

 

ミシェル・ウー氏は都市農耕、緑地面積の増加による都市の気温上昇問題の解決、それによる食糧運送距離の短縮も目指す。その他にもボストンの食料炭素排出量の減少や、地元の食糧源の多様化にも注力する。この計画書には1米ドルを都市農耕に支払った場合、6米ドルの収益が得られ、この収益は地元の大学や病院に提供されるとある。また、この政策により市内の協同組合、フードバンク、小規模ファーマーズマーケット等の発展支援が期待される。そして、これらの組織も現地の博物館と協力することで、種子の保護やその多様性を発揮できるようになる。

 

植樹もミシェル・ウー氏の二酸化炭素排出ゼロに向けた政策である。この計画によれば1本の木が毎年削減することのできる二酸化炭素量は22.6kgであり、300,000本の木々を植えた場合には680トンの二酸化炭素吸収源となり、街路樹がその道路の温度を2〜4℉下げることが予想されている。

 

浸水災害の教訓を活かしたスポンジシティへの大変身

 

2070年にはボストンは海面が3フィート(約0.9m)上昇し、21世紀末にはそれが7フィート(約2m)にまで上昇すると推測されている。

ボストンは2018年に浸水の被害を経験した。当時、米国東岸は爆弾低気圧の影響を受け、かつてない猛吹雪となり、ボストンの港には高さ4.6mの大波が押し寄せ、街道の浸水に加え、低温による道路凍結、さらには車輪までもが凍結した。

 

ミシェル・ウー氏はボストンをスポンジシティに変身させる計画を考案した。ここ近年、スポンジシティは特別目新しい政治的用語ではないが、ミシェル・ウー氏は全市民が一緒になって都市の土壌改革に取り組む計画を考案した。過去、市民の水道代はその水量によって計算されていたが、今後は暴雨費用に似た概念を取り入れて推し進めていく。つまり、使用土地と不浸透の面積から水道代を計算するというものである。使用する土地が増えれば支払額もその分増えるということになり、不浸透のセメント地の料金は浸透性の土地の料金よりも高くなる。

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「脱二酸化炭素」「分散化型」生活様式は見習う価値も高い

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