2021-12-06 政治・国際

ボストン新市長、台湾系女性ミシェル・ウー氏の画期的都市構想 ー見習うべき!「市政初の女性市長」のアイディア

© Reuters / TPG Images

注目ポイント

台湾には各局を超えた統一性のある枠組みの強化が必要であり、それによって、ようやくミシェル・ウー氏のボストン計画のように、全面的に物事を捉えた施策が可能となる。自然エネルギーの開発により新たな雇用を生み出し、都市農耕によりその土地の経済を促進し、また協力経済により適正な住居環境の整備を推し進める必要がある。

ボストン200年の歴史の中で、初の女性市長となったミシェル・ウー氏は台湾に対して非常に友好的な台湾系アメリカ人である。

 

しかし、最も注目すべき点は、女性であることや民族的なマイノリティということだけではない。彼女が考案した「ボストン緑化推進復興計画(Planning for a Boston Green New Deal & Just Recovery)」も台湾の各市が参考にすべき非常に価値のあるものである。これはボストン向けに書かれた計画書であるが、その範囲はとても広く、雇用機会の増加、手頃な住宅価格、地元の生鮮食品、地元の経済、公共交通手段などが含まれている。以下では環境に関わる内容を抜粋し紹介する。

 

再生可能エネルギーの応用でより多くの現地雇用機会を創出

 

ボストンは、2024年までに二酸化炭素排出量ゼロ、2030年までに再生可能エネルギーの使用率100%、2040年までにカーボンニュートラルの達成を宣言している。これらの目標達成に向けた重要政策の一つに、再生可能エネルギーの活用がある。ミシェル・ウー氏は高速太陽光パネルの設置以外に、再生可能エネルギーの生産能力にも注目しており、それらがボストンの就業人口構造に変化をもたらすとしている。例えば、洋上風力発電等の再生可能エネルギー産業を発展させることによって、軍事産業や化石燃料産業などの雇用と代替えさせることを目指している。

 

統計によれば、ボストンの退職基金のうち、毎年約100万米ドルが営利目的の刑務所と兵器産業に費やされ、2300万米ドルが化石燃料産業に費やされている。そして、再生可能エネルギー産業がもたらす雇用は約112,000人にも達し、ボストンの雇用構造の変化に期待が寄せられている。

 

建物の屋上に太陽光パネルを設置することもボストンが秘めた可能性の一つ。予測によると屋上型の太陽光発電のみで、マサチューセッツ州の半年分のエネルギー需要を満たすことが可能とのことだ。ミシェル・ウー氏はボストンが所有するグリーン地方債をコミュニティの自然エネルギー開発に使用し、その利益をコミュニティに還元しようと考えている。

 

2016年の目録によると、この計画は42の地域での再生可能エネルギーの開発を予定しており、長期的な政策としては、市政府の投資により公共の建物やコミュニティに太陽光パネルを設置し、その都市向けの発電を行うというものである。

 

ボストンはアメリカ第6の大都会である。多くの大都市と同じ様に、住居スペース不足の問題が生じている。この計画は、賃貸契約権に1米ドルを投資する度に、保護施設と医療にかかる2.4米ドルを節約することが可能だと示している。ミシェル・ウー氏は共同住宅と共同体土地信託を利用して、資本主義を超えたより多くの住民の居住スペースの創造を目標としている。

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