2023-06-04 観光

台湾限定―― もう一つの経済の奇跡  コンビニのサービス 

© 林旻萱撮影

注目ポイント

台湾のコンビニエンスストアの数は1万3000店に上る。未来流通研究所が2021年に行なった調査によると、平均1582人当たり1店舗という数字で、トップの韓国(1200人に1店)に次いで世界第2位である。 コンビニは次々と新たなサービスを打ち出してきた。食品ではB級グルメから名店とのコラボまであり、衣食住や教育、娯楽まで何もかも扱い、台湾を訪れる外国人にも愛されている。

文・曾蘭淑 写真・統一超商 翻訳・山口 雪菜

「知らないうちに入店している」「毎日一度は行かずにいられない」「テック企業、物流産業、アイスクリームショップのすべてを兼ね備えている」「台湾最大のレストランチェーン」――これらはコンビニに対して台湾人が抱くイメージだ。Googleが2022年に発表した「台湾人がストリートビューで最も多く閲覧するスポット」の1位もコンビニだった。

一日三食だけでなく、夜食や午後のおやつもすべてコンビニで解決できる。(ファミリーマート提供)

台湾限定のコンビニサービス

1978年、台湾の統一企業(Uni-President)が統一超商を設立し、アメリカからセブン-イレブンのフランチャイズシステムを導入、ここから台湾の小売流通革命が始まった。2022年12月末現在、セブン-イレブンは台湾各地に6631店舗を持ち、2022年の連結売上は2900億元に達する。1988年にはファミリーマートの最初の店舗が台北駅前にオープンした。ファミリーマートは現在、台湾に4100店を展開し、2022年のグループ全体の売上は907.4億元に上る。同じく1988年には来来超商(OK mart)も創業した。

さらに、もともと自社の流通ルートを持っていた光泉グループも消費者のニーズに対応し、1989年に台北の大稲埕に莱爾富国際公司(Hi-Life)を設立した。2023年1月現在、Hi-Lifeは全台湾に1542店舗を置き、2022年には過去最高となる248億元の売上を記録した。

セブン-イレブンでは、地域の属性によってカフェブランド「!₊? CAFE RESERVE」を併設した複合店を設けている。

 

サービスの差別化

日本のセブン-イレブンの役員や韓国のCOOを務めたことがある本多利範氏は、コンビニは消費者の生活上のニーズを支援する商品を扱うものと定義している。つまり、生活のソリューションを提供するということだ。台湾のコンビニも、こうした面で十分に力を発揮している。

消費者のニーズに応えるため、セブン-イレブン、ファミリーマート、Hi-Life、OK martの台湾四大コンビニは、店内の複合機と店員の訓練を通し、駐車料金や光熱費から学費、クレジットカードの支払い、宅配便の授受など、2000種以上の料金収納代理業務も行なっている。さらにコピー機やATMなどもあり、商品を買う以外の目的でコンビニを利用する人が多いことが、世界でも独特の台湾モデルとなっている。

コンビニの店員は笑顔で来店者を受け入れ、注文に応じてコーヒーを作り、オンラインショッピングの商品授受を行なう。高齢者にアプリの使い方を教え、時には道を教えたり来店者のおしゃべりの相手もしたりする。仕事の内容は繁雑で、きめ細かさも求められ、多くの店員は常連客の顔を見ただけで、いつも注文するコーヒーの種類もわかる。『您好! 歡迎光臨別家門市』の著者、茉莉はコンビニ店員を「地表最強の何でも屋」と形容している。

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