2023-06-02 政治・国際

北朝鮮・金正恩氏妹が衛星の再発射を強調  国連安保理決議に「宇宙利用権侵害」と反発

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注目ポイント

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は1日、同国が5月31日に行い失敗した軍事偵察衛星の打ち上げを米国が非難したことに反論し、「衛星は遠からず宇宙軌道に正確に入り、任務遂行に着手することになる」とし、近く再発射を行う考えを強調した。一方で、正恩氏の体重が140キロを超え、「重度の」睡眠障害に苦しんでいると韓国の情報機関・国家情報院が人工知能(AI)を使って分析した。

北朝鮮が5月31日に行い失敗した軍事偵察衛星の打ち上げについて、金正恩朝鮮労働党総書記の妹・金与正党副部長は1日に談話を発表。同国の軍事偵察衛星が「遠からず宇宙の軌道に入り任務遂行に着手することになる」と表明し、打ち上げを再度行うことを強調した。北朝鮮の朝鮮中央通信が伝えた。

談話は米国が非難したことに反論し、打ち上げは国家の自衛権に基づくものだと主張。国連安全保障理事会決議が北朝鮮に弾道ミサイル技術を使った発射を禁じていることは、「北朝鮮の宇宙を利用する権利の侵害」だと訴えた。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は同31日の記者会見で、北朝鮮の「軍事偵察衛星」打ち上げ失敗について「失敗であれ成功であれ、金正恩総書記とその科学者は学び、改良している」と述べ、軍事技術を向上させていると危機感を示した。

米政府は打ち上げに弾道ミサイル技術が使用されたと断定、米本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発にも直結しているとみて警戒を強めている。カービー氏は「朝鮮半島だけでなく、周辺地域にとっても脅威となっている」と非難した。

北朝鮮側がこの日公開したロケット打ち上げ場面の2枚の写真によると、ロケットは発射台に装着されず自立した状態から上昇しており、北西部東倉里の西海衛星発射場で新造された施設が使われたもようだ。韓国メディアによると、従来の発射台から約3キロの位置にある。

米国拠点の北朝鮮分析サイト「38ノース」は同31日、北朝鮮が「軍事偵察衛星」の打ち上げに失敗した後も、発射台付近で活発な動きが続いていたことが確認されたと発表した。事後分析や片付けを進めている可能性もある。打ち上げから約4時間後の商用衛星画像を分析した。

米当局者によると、飛行時間は10分足らずで、距離は数百キロだった。北朝鮮北西部の衛星発射場から打ち上げられ、黄海に落下したという。

ロイター通信によると、米不拡散研究センターのジョージ・ウィリアム・ハーバート大学非常勤教授は写真について、少なくともロケットの一部で、各段を結合する段間部が映っていると指摘。液体燃料ロケットの可能性が最も高く、内部にある丸い茶色の物体は、燃料か酸化剤を貯蔵する推進剤タンクだろうと分析した。

聯合ニュースによると、韓国大統領府の当局者は、北朝鮮が2回目の発射を打ち上げ予告期間の最終日である6月11日の前に行う可能性が十分にあるとした。だが、韓国の科学技術政策研究院のイ・ チョン・グェン名誉研究員は、韓国が北朝鮮のロケットの一部を回収するのは珍しいとした上で、北朝鮮が技術的な問題を解決するには数か月かかる可能性があり、近く再び発射がある可能性は低いとの見方を示した。

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