2023-05-31 流台湾

台湾日本語学科の「ディベート活動」―文藻盃日本語ディベート大会―

注目ポイント

日本では大学生の英語ディベートと言えば、学部に関係なく、たいていの場合ESSの活動の一つとして全国的に行われています。台湾では主に日本語学科の学生が、授業でディベートをしたり、毎年開かれる複数の大会に参加したりしています。先週土曜日(5月27日)、高雄にある文藻外語大学でディベート大会が開かれました。今年の論題は原子力発電所でした。

文藻盃日本語ディベート大会

コロナ禍で中断した年を除き、今年で21回目を迎える文藻盃ディベート大会が、台湾に一つしかない外語大学、文藻外語大学で5月27日に行われました。「台湾は全ての原子力発電所を継続するべきである。是か非か。」という論題で「肯定側」「否定側」に分かれて熱い論戦が繰り広げられました。

台湾の日本語学科には通常の授業の他、スピーチ、朗読、演劇、アフレコ、作文、紙芝居など、様々な活動や大会があります。ディベートもその一つで、語学の上達を目的としていることは言うまでもないことですが、論理的思考、社会的テーマ(経済、外交、貿易、教育、エネルギー、政治等々)、プレゼンテーション能力などの習得も大切な目的です。

日本語ディベート大会=5月27日(筆者撮影)

文藻の日本語学科では、ディベートについて先輩やOBが後輩を指導するという伝統が脈々と受け継がれており、また、ディベート大会参加者は日系企業から引手あまたで、卒業後は社会で大活躍しているそうです。

筆者は、かつての大学ESSディベート経験者として、他の大学日本語学科の先生おふたりとこの大会の審判(3人審判制)を務めさせていただきました。勝敗の判断がとても難しい試合ばかりでしたが、肯定側・否定側の白熱したすばらしい攻防に思わず鳥肌が立つ場面もありました。

審判3人、右から2番目は筆者(筆者提供)

 

台湾における日本語ディベート

日本語会話能力や討論の練習方法としてディベート競技が行われるようになったのはこの「文藻盃」が先駆けです。「文藻盃」に遅れること数年、18年前の2005年、台北市の交流協会と師範大学で第1回全国日本語ディベート大会が行われました。それ以来、参加校も徐々に増え、その範囲も中部から南部まで、文字通り「全国大会」となりました。2009年からは、政策の是非を問う政策ディベートと、価値観をテーマとした一般論題ディベートの2部門で大会をすることになりました。

日本語ディベート大会=5月27日(筆者撮影)

 

これまでに取り上げられたテーマ

台湾の大学で日本語を学ぶ学生は、今までに様々な分野の論題に取り組んできました。論題のテーマや背景は一般市民の生活や国のタイムリーな政策を反映している場合が多いので、今までにどんな論題でディベートが行われてきたか、その一部を紹介しましょう。

政策論題部門では、

2005年は「公営ギャンブルの合法化」、

2006年「炭素税の導入」、

2010年「代理出産の合法化」、

2012年「私立大学の学費自由化」、

2014年「救急車の有料化」、

一般論題部門は、

2009年「あなたは結婚する?しない?」、

2011年「小学校の英語教育は必要?」、

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