2023-05-30 政治・国際

トルコ=決選投票でエルドアン大統領が再選 プーチン氏は「親愛なる友」と呼び、祝意送る

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注目ポイント

トルコ大統領選の決選投票で、現職エルドアン大統領が再選を果たした。英BBCはエルドアン氏の勝利をいち早く祝福した世界の指導者の顔ぶれを見ると、ウクライナ戦争を背景にトルコの戦略的重要性が著しく高まっていることを示していると伝えた。

28日投開票のトルコ大統領選の決選投票で、選挙管理委員会は同日、現職エルドアン大統領(69)が、野党統一候補クルチダルオール氏(74)の得票を上回り再選を果たしたと発表した。高インフレや巨大地震の対応の遅れなどで逆風下、エルドアン氏は初の決選投票で接戦を制し、約20年間続く長期政権が維持された。強権体制が強固となり、保守化が加速しそうだ。2003年に首相に就任し、大統領職は議院内閣制時代から数えて3期目となる。任期は5年だ。

エルドアン氏は29日未明、首都アンカラの大統領府で大群衆を前に勝利演説し、「今こそ国家の目標、国家の夢に向けて団結すべき時だ」と訴えた。また、全ての対立を忘れて国家全体の価値観と理想の下で結束するよう呼びかけたが、その後にトーンを変えて野党を性的少数者(LGBT)寄りなどと批判し、クルチダルオール氏がテロリストに味方していると根拠を示さず主張した。

ロイター通信は、トルコ以外の北大西洋条約機構(NATO)加盟国が、エルドアン氏がロシアのプーチン大統領と近い関係にあることに警戒を強めていたため、クルチダルオール氏の敗北に失望しているとみられると伝えた。エルドアン政権のトルコは欧米の対ロ制裁に参加していないが、ウクライナとも良好な関係を保ち、仲介に意欲を見せている。

そんなエルドアン氏の再選を真っ先に祝福したのが、同氏を「親愛なる友」と呼んだプーチン氏だ。

ロシアにとって特に有利に働いているトルコの政策は、「トルコ以外のNATO同盟国が制裁を課し、ロシアへのエネルギー依存を削減しているにもかかわらず、エルドアン氏はロシアを排斥しなかったことだ」と英BBCは指摘。それどころか、トルコとロシアの2国間貿易は、ウクライナ戦争が始まって以来、大幅に増加しているのだ。

それでも、28日の決選投票の結果を受け、米国のバイデン大統領やフランスのマクロン大統領も積極的に祝意を送った。

BBCによると、エルドアン氏がクレムリンにすり寄ったり、大統領就任から20年で国内の言論の自由や民主主義を大幅に制限したことを西側の指導者は快く思っていないが、彼らにとってトルコは、たとえ困難で予測不可能であったとしても、西側諸国の重要な同盟国なのだ。

エルドアン氏はロシアとの緊密な関係を維持しつつも、ウクライナに軍事援助も提供している。また、ロシアが昨年、ウクライナの穀物輸出への封鎖を解除し、穀物に依存している世界各地に供給再開を可能にした協定の仲介をしたのはエルドアン氏で、ロシアの隣国フィンランドのNATO加盟も紆余曲折を経た後、正式に承認している。

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