注目ポイント
日本では初夏から出回り始めるヘチマ。やさしい風味や独特の食感で、台湾では日本以上にさまざまな料理に使われる夏野菜です。台北在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、台湾で見つけたさまざまな食材を用いたおつまみのレシピや相性抜群のお酒を紹介する月イチ連載。第八回は、そんなヘチマを使って手軽に調理できる「ヘチマと桜えびの炒め煮」です。

今月のおいしい季節食材「ヘチマ」
日本では主にたわしやスポンジ、化粧水などに使われているウリ科の植物「ヘチマ」。沖縄や九州南部では食用ヘチマが出まわっていますが、台湾でもポピュラーな夏野菜として人々に親しまれています。
台湾で「絲瓜(スーグワー)」と呼ばれるヘチマは、炒めものや蒸しもの、スープ、小籠包の具材などさまざまな料理に用いられます。丸くてコロンとしたタイプ、細長いタイプ、皮が白いもの…。形や色も、多種多様です。
薬膳の考え方では、ヘチマは多くの夏野菜と同様に身体の熱やほてりを冷ましてくれる「涼性」食材です。喉の乾きをいやして咳や痰を止めるはたらきがあるので、軽い風邪をひいたときや夏バテぎみのときには積極的にとるようにしましょう。

今月のおつまみ「ヘチマと桜えびの炒め煮」
今月は、ヘチマ独特のとろりとした実の食感、そしてあっさり淡白な味わいを楽しめる「ヘチマと桜えびの炒め煮」のレシピをご紹介します。
日本ではあまり見慣れない食材のひとつですが、皮をむくだけで特別な下ごしらえは必要なく、そのまま調理できるので便利! 香ばしく煎った桜えびとの相性もぴったりです。
材料とつくり方
【材料(つくりやすい分量)】
ヘチマ 1本(正味500g)
桜海老 15g
にんにく 1〜2かけ
水 80ml
紹興酒 適量
塩 ひとつまみ
こしょう 少々
ごま油 適量
ラード 大さじ1
フライドエシャロット 少々

【つくり方】
1.ピーラーでヘチマの皮をむいて、太さによって厚めの半月切りまたはイチョウ切りにする。フライパンで桜えびを軽く煎って、香りが出てきたらお皿に取り出しておく。にんにくは粗いみじん切りにする。
2.フライパンにごま油を熱して、中火でにんにくをさっと炒める。ヘチマを加えてさらに炒め、全体に油がまわるようにする。
3.水、紹興酒、塩、こしょうを加えたらフタをして、5〜7分くらい蒸す。ヘチマから水分が出てきたら、桜えび(トッピング用に少し残しておく)、ラード、フライドエシャロットを加えてさっと混ぜ合わせる。
4.器に盛りつけてこしょうをふり、トッピング用の桜えびをのせたらできあがり。

おつまみに合うお酒&ひとことメモ
ヘチマ特有のやさしい風味を楽しむなら、まずは口あたりが軽くて飲みやすい白ビールを合わせるのがおすすめ! そのほかスペイン、リアス・バイシャス地方のアルバリーニョ種でつくるワインなど、すっきりとした白ワインともマッチするはず。ほんのり感じる塩気とミネラルが桜えびのだしに寄り添い、シンプルなお料理の味わいを引き立ててくれます。
レシピでは塩のみで味つけしていますが、にんにくのほかにショウガを一緒に加えたり、醤油をひとたらししてコクをプラスしたり、自由にアレンジしてみてくださいね。