注目ポイント
欧米と同様に6月が卒業シーズンの台湾。新しい門出を華やかに祝うフラワーギフトも、春の花を中心にアレンジする日本とは異なる。卒業式が行われる学校の周囲に花屋が臨時出店する光景も、台湾の卒業シーズンの風物詩だ。
台湾は日本と異なり、5月下旬から6月が卒業シーズンとなる。今年もすでに卒業式が始まり、街中や公園では友人や先生と一緒に記念写真を撮る学生や生徒の姿が見られるようになってきた。
在校生から卒業生へ、卒業生同士で、そして家族から子どもへ花を贈る機会が増えるため、花業界にとっても卒業シーズンはちょっとしたイベントとなる。今回はそんな台湾の卒業式における花に関するエピソードををご紹介したい。
圧倒的に人気の向日葵
まず、台湾の卒業式で代表的な花といえば「向日葵(ひまわり)」である。年間を通して暖かい気候の台湾では、輸入品ではなく台湾産が一年中流通している。夏らしい爽やかな見た目と、暑い台湾でも比較的日持ちする向日葵は安価でもあるため、卒業式では1本巻きを配ったり、大きな花束にしてプレゼントすることが多い。
品種は年々増えているものの、市場で毎日切花として流通している向日葵は2〜5種類ほどだ。その大部分は一般的なオレンジの向日葵や檸檬色の向日葵で、日本で近年目にする機会が増えた、花の真ん中の芯まで全て花弁があったり、淡いピンクや赤い向日葵が出回ることは珍しい。また、向日葵の代用品として、黄色やオレンジ色のガーベラも人気となっている。

生花以外のプレゼントも人気
卒業式のプレゼントとして生の花が人気であることは間違いないが、ドライフラワーやプリザーブドフラワーが選ばれることも多い。台湾では5月、6月といえども30度を超える日が多く、生の花だとしおれてしまうと心配する人や、1週間程度しか日持ちしないことを懸念する人もいるからだ。ただし、ドライフラワーやプリザーブドフラワーは生の花より高価なため、学生の間では1本や小さい花束が人気となっている。
一方で、生の花のプレゼントをする人は、花が枯れても思い出として残るように、テディベアのぬいぐるみを花束に入れたり、メッセージカードを添える方も多い。花を使用せず、テディベアやお菓子だけで作った花束、LED入りの造花の花束など、日本では目にすることの少ないユニークな花束をプレゼントする人もいる。ドラえもんやハローキティーのぬいぐるみの花束もあり、「花束の形」になっていたら何でも有りなところも面白い文化だ。

学校の周りにあふれる花屋
コロナ禍では卒業式がオンラインで開かれたり、卒業式自体が中止になったりしたことから、卒業シーズンが来ても花の需要は極めて低かった。だが、今年はコロナ前のように通常の卒業式を行う学校が増え、花屋としても慌ただしい日々が戻ってきた。