注目ポイント
イスラエルで最近、武力衝突が激化し、国連平和維持活動(PKO)要員の任務はより危険で困難になっている。
同氏の前職は、北朝鮮と韓国の間にある非武装地帯を監視する中立国監視委員会(NNSC)のスイス代表。旧ユーゴスラビア、中東、アジアなどで20年以上にわたるPKO実績を持つ。
スイスの中立性が強み
スイスは国民投票で有権者の約55%の支持を得、2002年に国連に加盟した。国民投票に基づき加盟を決めた唯一の国だ。それ以前は中立性が損なわれることを恐れ加盟していなかった。
ゴーシャ氏は、国連加盟はスイスに新たな機会をもたらしたと話す。「国連で自国の見解をもっと擁護できるようになった。安全保障理事会の非常任理事国を務める今はなおさらだ」と言う。「中東でスイスの中立性は健在だ」とも話す。「私が就任した時、イスラエル・シリアの両当局が中立を守るよう要求してきた。『生まれながらに中立だ』と言えることを強みにして、私はミッションの責任者として(軍事監視団による)報告で中立を保つ、と彼らを説得した」
調停の伝統
中立国として長い歴史を持つスイスは、紛争当事者間の調停を繰り返し行ってきた。ゴーシャ氏もUNTSO司令官として、中東で橋渡し役を務めている。
イスラエルとレバノンは国連レバノン暫定軍(UNIFIL)との三者協議を通じて意思疎通を図っているが、イスラエルとシリアにはそのようなプラットフォームがない。そのためゴーシャ氏が両国の外相や「兵力引き離し合意」の維持に携わる軍総司令官の伝言を取り次いでいる。同氏はエルサレムのUNTSO本部でswissinfo.chに対し、こうやって不安定な地域の緊張緩和を促していると語った。
次に訪れたのは、ガリラヤ湖畔のティベリアスにある訓練センターだ。これから非武装地帯に配置される軍事監視員の訓練を行っている。スイス軍のロマン・ガグア少佐はここで、イスラエル国防軍が頻繁に軍事演習を行うゴラン高原でどの種の戦車、戦闘機、大砲を探すべきかを教える。
ガグア氏はこれまでに、ゴラン高原の軍事監視員、ボスニア・ヘルツェゴビナの欧州連合部隊(EUFOR)と国連南スーダン派遣団(UNMISS)の参謀将校を歴任。スイスの兵役では歩兵隊の小隊長を務め、現在は語学の専門家として活躍する。
