2023-05-26 政治・国際

プリゴジン氏、ウクライナ侵攻は露国に逆火 「ロシア革命のような混乱起きる」と警告

© Photo Credit: GettyImages プリゴジン氏

注目ポイント

ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトの完全制圧を宣言したばかりのロシアの民間軍事会社ワグネル・グループ創設者エフゲニー・プリゴジン氏は、今回の軍事作戦はバックファイアを起こしており、裕福なエリート層が軍事作戦にもっと積極的に関与しなければ、1917年のロシア革命と同様の混乱を招くことになると警告した。

プリゴジン氏は今週、ウクライナ侵攻が順調に進まなければ今後、新たなロシア革命が起きると警告した。露政治工作員で戦争推進派軍事ブロガーのコンスタンチン・ドルゴフ氏との長時間にわたるインタビューで語ったもの。プリゴジン氏はまた、プーチン大統領の「特別軍事作戦」の目的だったウクライナの〝非武装化〟に失敗したことで、戦争は見事に裏目に出たと批判した。

「われわれはロシアを失うこともあり得る状況だ」とプリゴジン氏は罵りの言葉を織り交ぜながらそう発言。「戒厳令を導入しなければならない。残念ながら、新たな動員もしなければならない。そして、弾薬を増産しなければならない」とし、「ロシアは、いわば国境を閉鎖し、数年間は北朝鮮のように生活し、懸命に働く必要がある」と訴えた。

プリゴジン氏は、ロシアの富裕層や権力者のぜいたくな生活への国民の怒りを引き合いに出し、〝農具〟を手にした国民が彼らの家を襲撃すると警告。ショイグ国防大臣の娘クセニアさんを例に挙げ、クセニアさんが婚約者でフィットネスブロガーのアレクセイ・ストリャロフ氏と一緒にドバイで休暇を過ごしているところを目撃され、批判にさらされていると指摘した。

24日に動画が公開された同インタビューで、プリゴジン氏は「エリートの子弟たちは罠を仕掛けるのがせいぜいで、中には贅を尽くした生活を送る人間もいる」とし、「この分断は、1917年の革命のような結末が待っているのかもしれない。最初に兵士たちが立ち上がり、次に彼らの愛する人たちがそれに続くのだ」と述べた。

政府とのケータリングサービス契約で富を得て、「プーチンのシェフ」として知られるようになったプリゴジン氏は、傭兵組織ワグネル・グループを創設。今回の侵攻では傭兵を前線に配置し、その後、疲弊した正規軍の兵力を支援するため、刑務所から大量の服役囚を徴兵するなど、作戦で中心的な役割を果たし、ウクライナ東部ドネツク州バフムトの猛攻も主導した。

だがプリゴジン氏は、激戦地となったバフムトでワグネル部隊の約2万人が戦死したと表明。真偽は不明だが、もし事実なら1979年から約10年間続いたアフガニスタン侵攻で、旧ソ連側の約1万5000人が戦死したとされているが、これを上回る犠牲を出したことになる。

同氏はインタビューで、刑務所から動員した約5万人の受刑者のうち、2割に当たる約1万人が戦死したとし、このほか、契約した戦闘員1万人が死亡し、負傷者も1万人に上るとしている。また、ウクライナ側の戦死者は5万人、負傷者は5万~7万人と推定した。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい