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2023-05-25 政治・国際

中国のリチウム電池メーカーが流動性の高さと政治的中立性からスイスでのGDR発行に殺到

© Photo Credit: GettyImages

注目ポイント

昨今、米中対立の影響を受けて中国のリチウム電池メーカーの10社以上が、業界への影響力を拡大するために海外進出しており、スイスでの株式上場による資金調達に積極的に取り組んでいる。こうした傾向は、中国国内の資本が不足しているが、米国での上場ができないことを浮き彫りにしている。


中国の電池産業は拡大しており、米中対立が激化する中、主要メーカーは安定的かつ流動的な市場を求めている。今のところ10社以上が積極的にスイスでの株式上場による資金調達をしており、「中国のリチウム電池の海外進出」となっているようだ。


スイス上場を急ぐ中国のリチウム電池企業

中国のリチウム電池産業は、新エネルギー分野での影響力を拡大するために、大きな資金を必要としている。中国メディア「新浪財經」の報道によると、2月28日に中国のリチウム電池メーカー「天能動力」は、スイス証券取引所監督局からグローバル預託証券(GDR)発行の条件付承認を受けたと発表した。

今年はスイスでGDRを発行し上場した中国リチウム電池企業が後を絶えず、杭可科技、盛新鋰能、天賜材料などを含むチェーン企業は、すでに大小合わせて10社を超えている。また、中国の電池大手の寧德時代(CATL)もスイスでのGDR発行を検討しており、約50億〜60億米ドルの資金調達を計画していることも注目されている。

なぜ、スイスが第一候補なのか?まず理解しておく必要があるのは、「グローバル預託証券」とは、上海証券取引所や深圳証券取引所に上場している企業の株式をベースにした証券で、スイスで発行および上場することにより、中国企業は国外で新株を発行する必要がなく、国内の株式の一部を国外に置いて資金調達や取り引きを行うことが容易にできる。

簡単に言えば、中国以外の投資家もGDRを通じて、中国A株の取り引きができる。しかも、取引税などの追加コストが発生しないことを意味する。


高い流動性と安定性がスイスを第一候補に

前述した資金調達の問題はさておき、実は現在、中国企業の他市場への上場は比較的困難である。「新浪財經」は、中国企業が米国で上場するのは国際政治の影響があるため難しすぎるが、スイスではチャンスがあると指摘した。

先日、全聯車商投資管理(北京)有限会社CEOの曹鶴氏は、「經濟觀察網」のインタビューで、スイスでの中国企業の上場は政策的なサポートがあり、現時点での資金調達の新しいプラットフォームにより適していると述べた。

また、2022年2月に中国証券監督管理委員会が「国内外証券取引所間相互運用預託証券業務監督規定」を公布し、国内GDR発行の取引所を上海証券取引所から深圳証券取引所に、国外GDR上場場所を英国からスイス、ドイツに拡大した。つまり、ヨーロッパでは英国やドイツに比べ、スイスの取引所での手続きの方が簡単で時間がかからないことを意味している。

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