注目ポイント
2020年にUNRWA事務局長に就任したフィリップ・ラザリーニ氏。国連に従事するスイス人の中では最高職位に就く。国連事務次長も兼任 Thomas Kern/swissinfo.ch
では、今後は?「我々の目標は明白だ。求めているのはUNRWAが不要になる状況だ」。UNRWAの任務は国連総会の決議に基づくため、パレスチナ難民の状況を変えるにはどんな場合であれ、政治的プロセスを経なければならない。そのため、事務局長が今できるのは、(期待と現実の)ギャップを埋め、UNRWAの資金繰りを中期的に安定させる方法を見つけることだけだ。
だが、政治的な解決策が見つかるまではUNRWAは代わりのきかない存在であり続け、それは関係者全員が同意見だとラザリーニ氏は言う。唯一異なるのがイスラエルの姿勢だ。それでも同氏は、今のイスラエル当局との関係は現実路線であり、組織の崩壊はイスラエルも望んでいないと考えている。「現在、この地域には多くの動きがある。解決策が見つかるという希望を捨ててはならないし、我々はパレスチナ難民に対してその責任を負っている」。だがそれは同時に、この暫定組織が当分の間残るであろうことを意味する。
編集:Balz Rigendinger、独語からの翻訳:小山千早
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