2023-05-25 台湾

牡丹社事件の激戦地 歴史伝える文化施設が起工/台湾

注目ポイント

台湾屏東県の牡丹郷石門に、台湾原住民族パイワン族と日本軍が衝突した「牡丹社事件」をテーマにした文化施設「石門古戦場故事館」と観光案内所の起工式が行われた。1871年に起こった牡丹社事件では、台湾南東部に漂着した宮古島民54人がパイワン族に殺害されたのを受け、74年に日本軍が台湾南部に侵攻した。石門ではシンバウジャン(牡丹)社やクスクス(高士仏)社の人々と激しい戦闘を展開し、その後日本は恒春半島一帯で約半年間にわたり占領体制を敷いた。式典に出席した周春米県長は、施設が牡丹社事件を知るガイドの出発点になるだけでなく、景勝地である落山風景特定区のスポットになると強調した。施設は3階建てで、展示スペースや舞台なども設けられ、年末の完成を予定している。

「石門古戦場故事館」完成イメージ(屏東県政府提供)

(屏東中央社)南部・屏東県牡丹郷石門で22日、台湾原住民(先住民)族パイワン族と日本軍が衝突した「牡丹社事件」(台湾出兵)をテーマにした文化施設「石門古戦場故事館」と観光案内所の起工式が行われた。

牡丹社事件は1871年、台湾南東部に漂着した宮古島民54人がパイワン族に殺害されたのを受け、74年に日本軍が台湾南部に侵攻。マツァツクスと呼ばれた石門ではシンバウジャン(牡丹)社やクスクス(高士仏)社の人々と激しい戦闘を展開し、その後日本は恒春半島一帯で約半年間にわたり占領体制を敷いた一連の出来事。

戦闘では5月22日にシンバウジャンの頭目、アルク父子が犠牲になったとされ、郷はこの日を「牡丹社事件記念日」と定めてイベントを開催し、後世らに対して先人がふるさとを守った歴史を伝えている。

式典に出席した周春米(しゅうしゅんまい)県長は今後施設が牡丹社事件を知るガイドの出発点になるだけでなく、景勝地である落山風風景特定区のスポットになると強調。より多くの人に屏東文化の深さを理解してもらえると期待を寄せた。

施設は3階建てで、展示スペースや舞台なども設けられ、年末の完成を予定している。式典には、地元の年配者や日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会高雄事務所の奥正史所長、沖縄県産業振興公社台北事務所の上江洲辰徳所長らも出席した。

(李卉婷/編集:齊藤啓介)

 

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