注目ポイント
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは今週、「日本のメディアは輸出競争力が低下していると嘆いているが、日本の円建て輸出額は過去2年間で43%増加し、22年度は7000億ドル(約97兆円)超と過去最高を記録した」とし、日本経済の好調度を指摘。米企業は今、日本市場の魅力に注目しているとし、その理由は「非中国」だと報じた。
週明け22日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は8営業日続伸し、バブル経済崩壊後の最高値を更新した。企業の好業績や株主への利益還元強化を受け、国内外の投資家から買い注文が殺到。同日の日経平均の終値は前週末比278円47銭高の3万1086円82銭、東証株価指数(TOPIX)は14.21ポイント高の2175.90を記録した。
23日には当面の利益を確定するためや、米債務上限問題をめぐる不透明感が嫌気され、NYダウが続落したため、売り優勢に転じたため下落した。それでも日経平均株価は依然3万円台を維持する好況が続いている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、米企業にとって政治的に安定し、経済活力を盛り返している日本は魅力で、その理由はずばり、「非中国」だという。「日本の政治は面白みに欠けるかもしれないが、投資家やCEOらの目には、中国の独裁的指導者による気まぐれな弾圧や、政府債務上限をめぐって米国で展開されているチキンレースよりも好ましく映る」というのだ。
WSJ紙は、「米企業の最高経営責任者(CEO)たちが最近次々に東京を訪れている」と指摘し、この数か月で訪日した著名なCEOとして、アップルのティム・クック氏、グーグルのスンダー・ピチャイ氏、オープンAIのサム・アルトマン氏、インテルのパトリック・ゲルシンガー氏らの名前を挙げ、著名投資家のウォーレン・バフェット氏も訪れたと伝えた。
「日本は成熟した経済国。CEOたちが日本に好意的なのは、中国とは異なる国」とした上で、同紙は、「日本は民主主義国家で、米国の同盟国であり、技術を共有するのに安全な場所」だからと魅力の理由を挙げた。
そんな日本市場へ、大手半導体メモリーメーカーの米マイクロン・テクノロジーは、広島県のDRAM生産工場など日本国内に今後数年で36億ドル(約4980億円)を投資すると発表。「日本政府も大規模な財政支援を講じる」と紹介した。
また、関西電力は22日、大規模データセンターの開発や運用を手がける事業に参入すると発表。米データセンター大手「サイラスワン」と折半出資する新会社を夏にも立ち上げ、今後10年程度で1兆円以上を投じるという超大型プロジェクトを計画している。
WSJ紙は、日本に注目すべき理由はもう一つあると指摘。「それはG7首脳らが対中依存からの『多様化とデリスキング(リスク低減)』を打ち出したことだ(彼らは「デカップリング」を目指してはいないとも述べているが、あまり説得力はない)」と解説した。