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5月5日の端午の節句。日本では古代中国の伝承が武家文化などの影響を受けながら独自に発展し、今では色とりどりの鯉のぼりが空を舞い、菖蒲湯につかったり、柏餅やちまきを食べるにぎやかな行事となった。台湾でも旧暦5月5日の端午節は三大節句の一つに数えられ、疫病退散や厄除けのための節句として重んじられている。
日本で5月5日といえば、男の子の成長を願う「端午の節句」であり「こどもの日」の祝日だが、実は台湾にも「端午節」がある。台湾では旧暦の5月5日となるため、今年2023年は6月22日(木)が端午節。前週の17日(土)が振替出勤となり、22日(木)から25日(日)までの4連休が予定されている。今回はそんな台湾の端午節についてご紹介したい。
台湾でも菖蒲は欠かせない
端午節の由来はご存知の方も少なくないだろうが、中国の戦国時代に遡る。詳細は割愛するが、楚国の政治家で詩人の「屈原」が、秦が楚の王を狙っていることを助言するが聞き入れてもらえず、その後、助言通りに楚の王が倒されてしまったことで、彼自身も川に身を投げ亡くなってしまった。そして、彼が身を投げた日が5月5日だったことから、供養としての行事が行われるようになったとされている。
日本で菖蒲湯に入る習慣があるように、台湾でも端午節の植物といえば菖蒲であり、葉菖蒲を玄関に飾ったり、菖蒲湯に入る習慣もある。ただし、台湾の花屋で菖蒲の葉を扱っているところは少なく、手に入れるなら一般的な朝市や夜市、花市場に足を運んだほうがよいだろう。
そもそも菖蒲を用いる文化は、古代中国から日本や台湾に伝わったもので、剣の形をした菖蒲の葉は、不吉なものや毒物、悪い虫などを追い払う意味合いがある。また、葉菖蒲は強い香りを放つことから邪気払いの行事にも用いられたことで、庶民に広まったとされている。

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ちまきは食べるけれど柏餅は…
端午節の行事食といえば、ちまきと柏餅がおなじみだろう。ちまきを食べる文化は、先述した屈原が川に身を投げた後、彼の死を悲しんだ人々が彼の体が魚に食べられないようにと、ちまきを川に投げたという話に由来する。そのため、台湾人にとって端午節は「ちまきを食べる」という印象が特に強い節句となっている。
一方で、日本のように柏餅を食べる習慣は、台湾にはそもそもない。日本で柏餅が食べられるようになったのは江戸時代からで、柏の葉は新芽が出るまで古い葉が枯れないことから、新芽を子ども、古い葉を親に喩え、「子孫繁栄」の意味が込められている。台湾でも日系の和菓子屋などでは取り扱っているものの、柏餅自体を知らない台湾人は多い。

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また、台湾では「立蛋」と呼ばれる面白い文化がある。これは、端午節のお昼の12時になると、子どもたちが一斉に卵を立てるもので、陰陽で陽気が最も強まり、地球の引力が一番強くなるとされる端午節の12時に卵を立てることができれば、1年間を幸せに過ごすことができるというものだ。