2023-05-23 政治・国際

WHO総会開幕 台湾招待「加盟国の賛同いらない」 保健相が現地で会見

注目ポイント

台湾の薛瑞元(せつずいげん)衛生福利部長(保健相)は、世界保健機関(WHO)の年次総会で、台湾のオブザーバー参加に加盟国による投票は必要なく、WHO事務局長であるテドロス氏に台湾を招待する権限があると主張した。これに対し、テドロス氏は加盟国が投票によって台湾の参加を決めるとの考えを示した。薛氏は、台湾がオブザーバー参加した2009年、加盟国全体の同意は得られていなかったと話し、テドロス氏の主張と実際の状況との間には落差があると語った。台湾は、中国の反対により17年以降、WHO総会に招待されなくなっている。薛氏は、台湾が参加できないことがWHOの目標の実現を妨げるとした上で、「台湾の参加は公衆衛生に関わる問題であり、政治的な問題ではない。健康は基本的人権であり、誰一人取り残してはならない」と強調した。

世界保健機関(WHO)の第76回年次総会開会前にスイス・ジュネーブで記者会見する薛瑞元(せつずいげん)衛生福利部長(保健相、左から2番目)ら台湾の代表団=ジュネーブで2023年5月21日、中央社記者曽婷瑄撮影

(ジュネーブ中央社)世界保健機関(WHO)の年次総会が現地時間21日、スイス・ジュネーブで開幕し、薛瑞元(せつずいげん)衛生福利部長(保健相)が同日、現地で記者会見に臨んだ。台湾の招待には加盟国の賛成票が必要だとするテドロス事務局長の主張に対し、台湾のオブザーバー参加に加盟国による投票は必要なく、テドロス氏に台湾を招待する権限があると訴えた。

テドロス氏はこの日午前、WHO関連のイベントで、台湾の参加は加盟国が投票によって決めるとの考えを示した。これに関する中央社の記者の質問に対し薛氏は、台湾がオブザーバー参加した2009年、加盟国全体の同意は得ておらず、当時の事務局長の招待によって参加が実現したと話し、テドロス氏の主張と実際の状況との間には落差があると語った。

台湾はWHO総会に2009年から8年連続でオブザーバー参加していたが、17年以降は中国の反対により招待されなくなった。

薛氏は、中国は国連が同国の代表権を認めた「アルバニア決議」について誤った解釈をし、台湾の国際参加を阻んでいると指摘。同決議は中国の代表権を認めただけで、台湾の地位とは無関係だと述べた。

また、台湾が参加できないことはWHOが掲げる「全ての人に健康を」という目標の実現を妨げるとした上で、「台湾の参加は公衆衛生に関わる問題であり、政治的な問題ではない。健康は基本的人権であり、誰一人取り残してはならない」と強調した。

(曽婷瑄、田習如/編集:楊千慧)

 

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