注目ポイント
スイス最大のワイナリー・グループ「シェンク・ホールディング(Shenk Holding)」は、より持続可能なアプローチに焦点を置くことで、「商業的ワイン」のイメージを払拭したいと考えている。その任務を遂行するのは、同グループ初の女性トップに就任したアレクサンドラ・ポスト・キエ氏だ。

昨年、シェンク・グループ取締役会長にアレクサンドラ・ポスト・キエ氏が就任した。創業130年、従業員650人を抱えるこのワイン専門の国際企業を女性が率いるのは初めてだ。
ヴォー州ロールに本社を置くこの家族経営企業が、その長い歴史の中で型にはまらない道を歩むのはこれが初めてではない。フランス、イタリア、スペインに44のドメーヌ(自家栽培のブドウから醸造・瓶詰までを行うワイン醸造所)と3500ヘクタールのブドウ畑を持ち、国内だけに留まらない「汎ヨーロッパ的な」製造体制を構築したのもその一例だ。ポスト・キエ氏は、お気に入りのドメーヌ「シャトー・シャタニュレア(Château Châtagneréaz)」で私たちを出迎えた。
swissinfo.ch:ワインの世界であなたを魅了するものは?
アレクサンドラ・ポスト・キエ:美しい物語とワイン作りに携わる職人たちの情熱、そして自然に対する彼らの謙虚さです。
swissinfo.ch:お気に入りのワインは?
ポスト・キエ:いくつもあります!ですがもし1つだけ選ぶとしたら、ここモン・スル・ロールで作られている、シャトー・シャタニュレアのシャスラ・ド・ギャルド(スイスの伝統的な白ワイン品種シャスラで作られた長期熟成型ワイン)でしょうか。
swissinfo.ch:100年前のワインと今日のワインにはどんな違いがありますか?
ポスト・キエ:ロゼやオーガニック、低アルコールワインなど、今は以前に比べ多様性があります。ワイン醸造に関しては、「介入主義」だった時期を経て今は100年前のような自然なプロセスが復活しつつあります。
swissinfo.ch:スイスワインの多くは、素晴らしい品質であるにもかかわらず、小規模生産であるために国外でほとんど知られていません。状況を改善するには?
ポスト・キエ:確かにそれは課題です。生産されたスイスワインのほとんどが地元で消費されるので、輸出に回る量はごくわずかです。スイスの企業として、私たちはもちろんスイスワインの普及を支援しています。例えば、ドメーヌ・デュ・モンドールのような逸品のセレクションは、海外のワインフェアでプロモーションをしたり、ワイン評論家にアピールしたりしています。
また、イタリアやスペインでは規模がはるかに大きいドメーヌを経営しています。ちょうど南イタリアのプーリア州に新たに100ヘクタールの有機栽培のブドウ畑を購入したばかりで、自社ブランドの「マッソ・アンティコ(Mazzo Antico)」の生産に十分な量のブドウを確保できるようになりました。私たちは主にオーガニック、ロゼ、スパークリングワインの分野で当社のポジションを強化することを狙い、戦略的にブドウ畑を購入しています。