2021-12-03 経済

中国政府の“台湾人狩り” にスペインの人権保護団体が非難 刑事処分受けた台湾人を「本土へ強制送還せよ」と各国政府に要求

注目ポイント

中国が各国政府に対し、刑事処分などを受けた台湾人を中国に強制送還するよう求めていることがわかった。スペインの人権保護団体「セーフガード・ディフェンダー」が今週明らかにしたもので、台湾の主権を弱体化し、「2つの中国」の立場を取る蔡英文総統に揺さぶりをかけることが中国の狙いだとしている。

中国が各国政府に対し、刑事処分などを受けた台湾人を中国に強制送還するよう求めていることがわかった。スペインの人権保護団体「セーフガード・ディフェンダー」が今週明らかにしたもので、台湾の主権を弱体化し、「2つの中国」の立場を取る蔡英文総統に揺さぶりをかけることが中国の狙いだとしている。

 

同団体の報告書によると、2016年から19年までの3年間で少なくとも610人の台湾人が外国政府により中国に引き渡され、その処分の理由はほとんどがハイテク犯罪に関与した容疑だったとしている。

 

セーフガード・ディフェンダーは、中国が送還を各国に要求して圧力をかけることにより、「海外での影響力を強化する狙いがある」と分析。同時に中国政府の“台湾人狩り”を非難した。

 

一方、中国に引き渡された台湾人は、「中国出身者ではなく、家族や親せきもいない」ことから、同団体は秘密裡に極刑や重大な人権侵害にさらされる危険性があると指摘した。

 

同団体によると、中国の要求に応じて強制送還しているのは、ほとんどがアジアの国だが、最も件数が多いのはスペインとケニアだとし、同団体はこれらの国が国際人権規約などに違反していると批判した。

 

中国に引き渡された台湾人の行方については不明だが、報告書は、うち2人が中国のテレビニュースで取り上げられ、謝罪させられている様子が放送されたとしている。

 

報告書はまた、16年にケニア当局が中国政府の要求に応じ、複数の台湾人被疑者を中国に送還する決定をしたのは、同国が「台湾と十分な外交関係がなかったため」だと釈明した。この際、被疑者の数人は冤罪だったとして釈放されている。

また、17年には台湾当局がカンボジア政府と数回にわたり台湾人の中国送還を取りやめるよう交渉したが、失敗したという。

 

この報告書を受け、台湾政府はフランス通信(AFP)に、「中国は海外で検挙された台湾人に対する司法権はない」と前置きし、「中国政府は台湾への主権を主張しているに過ぎない」とした。

 

その上で、「これまでも中国に対して要請したように、犯罪撲滅は政治を絡めるべきではなく、司法当局は今後も互いに協力して犯罪に立ち向かい、社会の安全に取り組むことを期待する」との談話をAFPに伝えた。

 

英BBCによると、この件について中国側は反応していない。

 

中国と台湾の司法当局は、第三国で発生した事件に関与した中国人および台湾人の被疑者について、それぞれの管轄地に送還するよう第三国政府に求めることで合意しているが、セーフガード・ディフェンダーは中国が近年、特に蔡政権が誕生してからは合意を反故にしていると指摘した。