注目ポイント
台北在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、台湾各地の歴史ある市場やファーマーズマーケットを舞台に、季節のおいしい食材や台湾らしいユニークなモノやコト、その楽しみ方を紹介する月イチ連載。今回取り上げるのは、緑が広がる台北屈指のおでかけスポット、花博公園で毎週末に開かれる「花博農民市集」。生産者自身が持ち寄った新鮮な野菜や果物が集まるファーマーズマーケットは、ユニークな食の体験も魅力です。

花博公園内に開かれる人気のファーマーズマーケット
2010年に台北国際花博覧会の会場としてオープンした圓山エリアの花博公園。敷地内には美術館やおみやげショップ、レストランなどがあつまり、週末になるとたくさんの人でにぎわうおでかけスポットです。ここでは毎週土日にファーマーズマーケット「花博農民市集」が開催されていて、農家さんたちが台湾の各地から持ち寄った季節のおいしい食材に出合えます。

MRT「圓山」駅から歩いてすぐの場所に目立つ入り口があるので、はじめてでも迷わず辿り着けるはず。ファーマーズマーケットということでフレッシュな野菜や果物を扱うブースが大半を占めますが、ジュースやジャム、お茶といった農産加工品も充実の品ぞろえ! その多くが試食、試飲可能なのもうれしいポイントです。
初夏の訪れを感じる野菜や果物のラインナップ
農家直送の季節食材をいち早く手にすることができるのは、ファーマーズマーケットの魅力のひとつ。二十四節気の「立夏」をすぎて初夏の気配が漂う台湾ですが、野菜ではトマト、きゅうり、とうもろこし、ズッキーニなどをたくさん見かけるようになりました。ブースによっては珍しい品種や短い期間限定のものも販売されていて、料理好きとしては毎回ワクワクの連続です。

そのほか、マンゴー、グァバ、パッションフルーツ、バナナといった南国フルーツの顔ぶれのなかでもひときわ目立っていたのがパイナップル! 今の時期は、甘みが強くてジューシーな「金鑚パイナップル」が旬を迎えています。ほとんどのブースで、カットされたものを少量買って持ち帰ることもできるようでした。

台湾の農産物でつくるユニークな商品も要チェック
この日、夫とふたりで「何かおもしろいものはないかな?」と場内を巡っていると、パッションフルーツでつくったお酒を販売している生産者さんに出会いました。話を聞いてみると、自らパッションフルーツを栽培しながら、収穫したものの一部を果実酒や果実酢にしているのだそう。どちらも試飲させてもらいましたが、フレッシュな香りと爽やかな飲みくちは夏にぴったり! またひとつ、台湾のおいしいものを新しく発見できて、うれしいひとときでした。

一角はちょっとしたおやつや軽食を販売するスペースになっていて、人気店には行列ができることも。ここで台湾らしい小吃(ローカルフード)をテイクアウトして、公園内の芝生やベンチでゆっくり味わうのもよいアイデア。マーケットのすぐそばにある食と雑貨のセレクトショップ「神農生活」やクラフトビールストアなどでドリンクを調達して、一緒に楽しんでみてくださいね。