2023-05-16 政治・国際

ゼレンスキー氏、ロシア領土攻撃も提案 訪独では欧州諸国に戦闘機供与訴え

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注目ポイント

ウクライナのゼレンスキー大統領が今年初め、ロシア領内の都市の占領や軍部隊への攻撃を側近に持ちかけていたと米紙ワシントン・ポストが報じた。一方で先週末、ロシアのウクライナ侵攻後に初めてドイツを訪れた同氏は、「今年こそロシアを敗北させ、戦争を終わらせたい」と強調し、欧州諸国へ戦闘機の供与を求めた。

米紙ワシントン・ポストは13日、ウクライナのゼレンスキー大統領が今年初め、ロシア領内の都市の占領や軍部隊への攻撃を側近に持ちかけていたと報じた。ロシアとハンガリーをつなぐ石油パイプラインの爆破も提案していた。同紙が入手した機密文書に情報機関の通信傍受記録が含まれていた。

同紙はゼレンスキー氏について、「自国を守る冷静な指導者という表の顔とは違い、大胆な攻撃を画策していた」と指摘。ゼレンスキー氏は取材に対し、情報機関の指摘は「空想だ」と退ける一方、「これだけ多くの国民が殺害、拷問されている以上、あらゆる奇策を使う必要がある」と述べた。

「極秘」と印された文書には、1月に側近との会議でゼレンスキー氏が「ロシアへの攻撃」について、ウクライナ陸軍の部隊を敵国の領土内に侵攻させ、「ロシアと国境を接する不特定の都市を占領する」作戦を提案したことが記されていた。その目的は、「ロシアとの交渉でウクライナを有利に導くため」としていた。

一方、ロシアによる侵攻後、初めてドイツを訪問したゼレンスキー氏は14日、ベルリンでショルツ首相と共同記者会見し、「空域ではロシアが優位に立っている」と述べ、戦局転換のため、欧州諸国の戦闘機供与が必要になると改めて訴えた。米国に次ぐ規模の軍事支援を行うドイツに謝意を表明。「今年こそロシアを敗北させ、戦争を終わらせたい」と強調した。

ショルツ氏は「防空分野では既に多くのものを提供した」と述べるにとどめた。ドイツは13日、27億ユーロ(約4000億円)の追加軍事支援を発表。ゼレンスキー氏は「非常に重要で強力だ」と謝意を表明し、ショルツ氏も「今後数年間の支援を確実にする」として、長期的に支えると約束した。

戦闘機供与を巡っては、ポーランドとスロバキアが旧ソ連製ミグ29を供与。米国やドイツは慎重な姿勢を崩しておらず、ウクライナとしては、欧米の戦車供与で中心的な役割を果たしたドイツに戦闘機についても主導してほしい考えだ。

ゼレンスキー氏はロシアへの反攻に向け、「不法に占領された領土を奪還する準備をしている。成功を信じている」と発言。「和平案は自国の提案に基づくべきだ」とし、領土での譲歩はないとの考えを強調した。

ウクライナ情勢は開幕を控えるG7広島サミットの中心議題となる見通しで、地ならしを図る狙いもある。

ゼレンスキー氏は和平交渉についても意見を交わしたと述べ、「ショルツ首相と同じ立場にある」と説明した。ショルツ氏は「ウクライナには和平の準備があるが、単なる戦闘の凍結やロシア側が一方的に形成する和平のことではない」と訴えた。

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