注目ポイント
台湾では2015年に、国民の意見や要望を広く聞くため、公共政策インターネット参与プラットホーム、いわゆるネット目安箱を開設しました。今やネット時代、多くの人にとって敷居が低いことから様々な意見や不満が集まりました。一つの投書に対して5000人以上の賛同があれば、政府は2か月以内に何らかの回答をしなければなりません。これまでにどんな投書があり、どんな意見が実現したのでしょう。
台湾版目安箱
目安箱とは、為政者が広く庶民の意見や要求や不満などを求めるために古くから各地にある制度で、特に8代将軍徳川吉宗によって1721年に設置された目安箱は学校で習ったことがあるでしょう。吉宗の設置した目安箱のおかげで、翌年さっそく小石川に貧民救療施設-小石川養生所が創立されました。
今では、政府、政党のHPやタウンミーティングなど様々な形で、色々な自治体が庶民の意見を直接吸い上げています。
台湾では、国家発展委員会が8年前に「公共政策網路參與平台(公共政策インターネット参与プラットホーム)」を立ち上げました。現在21の県や市で活用されています。5000人以上がその投書に賛同すれば、政府は2か月以内に必ず答えをアップしなければならないというルールです。

庶民の切実な意見
インターネットを利用した投書ということで利用しやすくなり、2020年までの投書は9000件にも上り、そのうち5000人以上の賛同を得たのは202件、約5%でした。なかでも特記すべきは飲酒運転累犯者に対する罰則強化です。ネット目安箱に意見が載せられてから非常に短期間で改正法が立法院を通過し成立しました。
また学校で英語と中国語を同等に扱うバイリンガル政策をやめて、台湾語や客家語や原住民語など台湾の多言語化を主軸とし、英語は「友だち付き合い」程度にするべきだという提案が今年4月上旬にアップされ、これまでに8204票を獲得しました。教育部(文科省に相当)は2か月以内に具体的に回答するとしています。
ではここで、5000人の賛同まではまだ達していないけれど、庶民から寄せられた切実な意見を少し見てみましょう。
・車、バイクのドライブレコーダーを標準装備にしてほしい。
・基隆にバッティングセンター(野球の話です。何かの比喩ではありません)を誘致してほしい。
・性犯罪者は一律モザイクなしの実名報道してほしい。
・安楽死を合法化してほしい……などなど。
ユニークな意見、厳しい意見、生活に密着した意見、色々ありますね。

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週休3日制賛成が5千越え
今、ネット目安箱で最もホットな話題となっているのは「週休3日制」です。台湾ではすでに週休2日制が導入されて久しいですが、月曜日に会社に行きたくないという、いわゆるブルーマンデーを感じている人は多いでしょう。
去年イギリスで約半年間にわたって週休3日制を実験しました。その結果、労働者の健康に改善が見られ、仕事と家庭の両立がしやすくなり、欠勤者・離職者が減りました。また、実験参加企業の売り上げも、事前の予想に反して増加したのです。